「ゴジラvsコング」(2021)
作品解説
- 監督:アダム・ウィンガード
- 脚本:エリック・ピアソン、マックス・ボレンスタイン
- 原案:テリー・ロッシオ、マイケル・ドハティ、ザック・シールズ
- 原作:東宝『ゴジラ』、エドガー・ウォーレス、メリアン・C・クーパー『キングコング』
- 製作:トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、ブライアン・ロジャーズ、メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア、エリック・マクレオド
- 製作総指揮:ジェイ・アッシェンフルター、ハーバート・W・ゲインズ、ダン・リン、ロイ・リー、坂野義光、奥平謙二
- 音楽:ジャンキーXL
- 撮影:ベン・セレシン
- 編集:ジョシュ・シェーファー
- 出演:レベッカ・ホール、アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、ジュリアン・デニソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、カイル・チャンドラー、小栗旬、デミアン・ビチル、エイザ・ゴンザレス 他
「ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ」に続くモンスターバースの最新作。
「ザ・ゲスト」のアダム・ウィンガードが監督を務め、新たなキャストとしてレベッカ・ホール、アレクサンダー・スカルスガルド、「チャイルド・プレイ」のブライアン・タイリー・ヘンリー、そして「デッドプール2」のジュリアン・デニソンが出演。
その他ミリー・ボビー・ブラウンやカイル・チャンドラーに加えて、デミアン・ビチルやエイザ・ゴンザレスらが出演と、豪華なキャストがそろっています。
また、日本からのキャストとしてゴジラを研究する男役に小栗旬が出演していますね。
コロナ禍で今作も劇場公開ではなく配信になりかけたり、そもそもワーナーのHBOMAXでの展開に対してレジェンダリーがのけ者になっていろいろともめたりと映画界の怪獣バトルも予想されましたが、何とか回避して無事に劇場公開されました。
日本でもアメリカに続いてGW明けの公開予定だったのですが、緊急事態宣言発令もあって再度の延期。海外では結構ネタバレ動画も上がったりソフト販売もある中で、ようやく7月に公開となりました。
下半期スタートとしては、頂上決戦になるド級のブラックバスターですね。
今回はせっかくの大怪獣バトルなので、IMAX3Dにて鑑賞。初週末ではあったのですが、まあ料金割高だからか満員ってほどではなかったです。
でもゴジラや怪獣映画を愛するファンらしき人たちでにぎわっていました。
~あらすじ~
モンスターゼロ(ギドラ)の復活から地球王を決める闘いが繰り広げられてから数年。
怪獣王ゴジラと髑髏島に住むコングに因縁があることを突き止めたモナークは、ゴジラに探知されないようにとコングをシェルターに閉じ込めていたが、コングはかつてとはこらべものにならないくらいに成長しており、人間による監視にいら立っている。
一方で数年息をひそめていたゴジラが突如として出現し、巨大なテクノロジー企業エイペックスの研究所を襲撃し焼き払った。
陰謀論者のバーニーは以前からエイペックスの研究を疑っており、そこで開発されていた何かが、ゴジラを怒らせたのだと推測する。
エイペックス社はその研究完成のためには、ゴジラ含めた怪獣たちの故郷である地球のコアへ行き、エネルギーソースを採取する必要があると考え、コングをその道案内としようと移送を始めた。
南極にある地球のコアへの入り口への輸送中、コングを運ぶ艦隊をゴジラが襲撃。
地球最強は一体で良いとばかりに、ゴジラとコングの激しい戦いが始まった。
感想レビュー/考察
モンスターバースも早くも4作目になり、ここまでですでにモスラもラドンもキングギドラも出ています。
今作ではゴジラとコングが大バトル。最初からクライマックスとばかりに景気よく展開していくので、実をいうと、というかわかっている通りドラマ性はゼロです。
もう人間とかその世界とかどうでもよくて、求められているのは超巨大生物の本能のままの大喧嘩。
高層ビルはリングロープみたいなもので、空母はただの足場でしかなく、夜の街の明かりはリングを照らすレーザーライトのようです。
大怪獣映画を見に来た観客には、その大怪獣のガチンコバトルをただ余すところなく見せつけてくる、需要を理解した作品になっています。
そしてもちろんそれはそれで大盤振る舞いではあるので、かなり楽しんで観ることはできました。
一応大きく分けて3回ほど戦うわけですけれど、前作にあたる「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」とは異なる画づくりになっています。
前作が絵画的な、神話の挿絵のような絵作りで、よく言えばシルエットを活かしてカッコいいですが悪く言うと暗くてはっきりと見えない点などがありました。
それに比べれば、最初の海上バトルも、そして第2ラウンドの香港の夜の街もラストバトルも、いずれも見やすく。
これだけの大スマッシュぶっ壊し乱闘でありながらも、どういった戦いを見せているのかがわかりやすい点は評価できます。
ステージチェンジだけじゃなくて、コングにはコングらしく武器を持たせる点なども含めて、違ったシチュエーションでの戦いをみせ楽しませてくれます。
獣ではなくて怪獣、それぞれキャラクターっぽくガンつけたりニヤッとしたり、感情豊かに戦っているのも良かったです。
ただ、個人的な問題点は、そのバトルがいかに楽しかろうと、感情までは入っていけない点でした。
例えば「キングコング 髑髏島の巨神」では、コングという正義の守護神が、美女と野獣のように悪の化け物から人間を守っていましたし、そもそもそのベトナム戦争を背景にした重なりが単なるモンスターバトルに深みを与えていました。
そして前作も、人間ドラマこそめちゃくちゃですが、宇宙からの外来種であり異物であるキングギドラが敵であることから、必然的に地球を守護するヒーローとしてゴジラを応援するものでした。
それが今回はアルファを決めるためにケンカするという点以外にはあまりドラマ性がないのです。
もう人間側の何かとのつながりもなく、言ってしまうとどっちが勝っても別に・・・という感じです。
戦いは派手ですから最高ですが、応援すべきともこの殺し合いに哀しさを感じるともなく。どこへ向かっているのかが分かりにくいです。
どことなく地球のコアへの旅があったり、人間側と接点が多いので、主役はコングかな?コング2といったテイストで、ゴジラはコングにとってのライバル役な位置。
今回も人間パートについては完全にどうでもいい。
一応は豪華なキャストがそろっているので、それぞれいるだけでも華があるし賑やかにしてくれていますが、たぶん唯一ドラマに満ちていたのは、コングと心を通わせる少女ジアですね。
カイリー・ホットルは耳の聞こえないファミリー出身で、ASLを使用して会話していますが、喋らないからこそ彼女はふんだんにそのフィジカルを使って語っています。
音響も含めて彼女の演出は効果的に思え、また意思疎通が(通常には)難しい者同士としてのコングとの絆をのぞかせます。
彼女とコングこそにその繊細なドラマ性があるはずですが、実際の戦いに関して言うとそこが活かされていなかったのが残念な点でした。
とまあいろいろと思う点もあるのですが、大怪獣バトルをこれでもかと惜しげなく見やすく展開するのは、観たいものが観れるという原則に沿っていますから、満足できる作品でした。
あまり揺れないカメラに2体の位置関係を見失わない構図、怪獣映画らしいぐっとしたズームに、建物内など人間視点での背景スケールの強調。
今回は(商品展開などで見えているのでネタバレというわけでもないか?)メカゴジラの登場についても、こいつ踏まえても3体しかいないので見やすかったですね。朝方の格闘戦だったのもあります。
ただ最後に言いたいのは、商業性と作家性のバランスに関しては、やはりジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督の「キングコング:髑髏島の巨神」が一番だったかなという点です。
あちらは後戻りできなくなった者の行きつく先という点では作家性が「キングス・オブ・サマー」と共通していたり、人間とコングすべてが大事な登場人物となっていましたので。
今作にはあまりアダム・ウィンガード監督のホラーテイストだったり、意地悪な仕掛けなどもありませんでした。
この辺りのバランスとかはもちろん制作規模の大きければ大きいほどに難しいものになりますが、この監督だからこその作品だというような昇華を見せてほしいところです。
需要と供給のバランスは完璧なのかと思いますので、破壊神と守護神、タイタンの戦いを見届けたい方はぜひ映画館へ。こちらやはり劇場の、しかもすっごく大きなスクリーンでやっている間に見たほうが良いことは間違いないので、お早めに。
今回の感想は以上になります。
今後もモンスターバース展開が続くのであれば、それらも楽しみにしていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた次の映画の感想で。
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