2021年上半期映画ランキングベスト10
さて、2021年も上半期が終わりました。そこでとりあえず前半を振り返って、その中でのベスト10を決めておこうと思います。
上半期公開予定のものが下半期にずれ込んでいたり、劇場公開されずに配信公開になった作品など多くありますが、一応は劇場鑑賞した作品のみを対象にして選んでみました。
あと日本、自分が見れる意味での公開日での設定です。
上半期だけでも2019年とかは50くらい観てましたが、今年は30数本しか観ていませんでした。
- 「アメリカン・ユートピア」
- 「Mr.ノーバディ」
- 「ラーヤと龍の王国」
- 「ファーザー」
- 「サンドラの小さな家」
- 「天国にちがいない」
- 「パーム・スプリングス」
- 「アンモナイトの目覚め」
- 「どん底作家の人生に幸あれ!」
- 「約束の宇宙」
という結果になります。なかなか順番決めが難しかったです。上位と下位は決まるものの、そのあとの順位はあまり差はないかもしれません。
第1位「アメリカン・ユートピア」
一番気に入ったのは、一番驚き一番陶酔した、こちらスパイク・リー監督のデヴィッド・バーンのショーを描くドキュメンタリー。
とにかくショー自体が驚異的だということもありますが、そこに映画的なアングルやスケールと視点を組み込み、クローズアップなどの動きまで含めて完全に映画化する手腕にも痺れました。
必要なものだけを残した自由なステージから、いつの間にか渡したちが失ったつながりを再発見し、癒し、そしてその先の行進(マーチ)をする。
脱帽です。本当に素晴らしい作品でした。
第2位「Mr.ノーバディ」
ボブ・オデンカークがアクション俳優としての道を切り開いて見せたというだけでなく、単純に今年映画館で観ている間ずっと楽しかった作品です。
久しぶりに純化してエンタメを浴びていました。
カタルシスのための丁寧な構成としっかりと見せていくアクション。
とびっきりAランクのB級映画。こういうものを映画館で週末に観るという文化が愛しく、思い出させてくれた作品です。
第3位「ラーヤと龍の王国」
3番手にはコロナ禍的な後悔のされ方をしたこのディズニーアニメーションです。
こちらも正直もっともっと大きなスクリーンで楽しみたかった作品なんですが、とにかく熱かったです。
プリンセス物語というところからはほとんど脱却して、強く自立したヒロインとしての活躍が描かれますが、今作の魅力は帰結がその際にあったことです。
真に英雄的な行動とは、他者を心から信じて自己の犠牲をいとわないこと。主人公が何か達成したり倒したりではなく、今の時代に一番必要な信頼と慈しみをもって世界を、みんなで救うというところが最高でした。
あと、単純にラーヤ含めてカッコいい。画がクールすぎる。
第4位「ファーザー」
文句のない傑作です。フローリアン・ゼレール監督の置いた主観という視点で描かれる認知症。
そこに装飾や舞台美術を組み合わせて映画的な楽しさを加え、さらにそれらを背負って余りある力を持った名優がそろっています。
嘘偽りなく残酷な部分までもしっかり描き出すその逃げない姿勢と、決して搾取的でない真摯さも光る作品です。題材に対しての熱意に感服しました。
第5位「サンドラの小さな家」
上位にどうしても入れたかった作品が、こちらフィリダ・ロイド監督の眼差しを向ける対象が素晴らしいドラマ。
フェミニズム透ける中で、DVを扱い、そしてシステムと人の温かさも入れ込んだ中で、ほとんど他人から向けられる優しさが人を再生する様を選んで見つめた素晴らしい作品です。
涙の出る作品ですけれど、どこで泣かせてくるかってホントに大事ですが、ここではあったかい涙でした。
第6位「天国にちがいない」
ここでエリア・スレイマン監督の自伝的な作品。ユーモアちりばめながらも、不穏さを抱え、そして独特の静かさで現代の私たちの生きる世界を描いて見せる。
そこには純粋な映画体験があふれていて、眺めている感覚も心地よい。
この世界そのものを主人公に、一緒に眺めて旅した先に、どこにでもある普遍的な歪みや危険と、人の美しさが発見できます。
第7位「パーム・スプリングス」
ループもの映画はかなり増えてきている中で、新鮮勝つハッピー、それでいて示唆に富んだ風を届けてくれる楽しい作品。
とにかく主演のアンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティのコンビ、アンサンブルが完璧ですよね。
ループに残るという選択まで含めてその葛藤を描いた点も新しいですし、そしてまたそこから生とは何かを語る。
目的も意味もない人生に、ふと意味はあるのかもと思わせてくれる作品です。
第8位「アンモナイトの目覚め」
こちらフランシス・リー監督によるロマンス。
LGBTQを扱う作品としては、監督の前作やセリーヌ・シアマ監督の「燃ゆる女の肖像」に比べるとやや距離を感じてしまうものではありましたが、主演二人と確かな演出や衣装による語りなどはさすがの力強さを持っていました。
アウトサイダーの二人が出会い、互いにそれぞれの境遇を共有する。映像で語られる愛し合う情熱が特に好き。
第9位「どん底作家の人生に幸あれ!」
こちら実はそんなにマークしていなかった、アーマンド・イアヌッチ監督によるディケンズの小説の映画化。
国際色豊かであり映像的にも非常に楽しくあり、デヴ・パテルがチャップリン張りにユーモアと繊細なドラマを展開するチャーミングな作品。
自分の好きな、物語によって現実を受け入れていき生きていくというところがはまった作品でした。
第10位「約束の宇宙」
アリス・ウィノクール監督のこちらを最後に滑り込ませました。
個人的にこの宇宙飛行士モノを描く映画なのに、地球から離れずに終わる点、そしてそれでいながらも別離というものを親子ドラマとして非常に濃厚に描いた手法が素晴らしく印象に残っている作品です。
同化していく母と娘の想いと視点が炸裂したラストは何とも言えない清々しさと暖かな感動に溢れていました。
さて、以下はいつもの遊びコーナーです。
勝手につけた部門別ベストになります。というか言及しておきたい俳優や作品をこじつけて残したいだけです。
ベストヒーロー
- ムーンドッグ「ビーチ・バム まじめに不真面目」
ベストヒロイン
- リーガン「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」
- クロエ「RUN/ラン」
- サラ「パーム・スプリングス」
ベストヴィラン
- バロネス「クルエラ」
ベストフレンズ
- ルカ&アルベルト「あの夏のルカ」
その他にも以下に素晴らしかった映画まとめました。
映画館で観たものもありますが、配信されていたものもあります。
配信に関しては今年配信なのか実は昨年末とかなのかわからないので、ある程度新しかったものだけピックアップしています。
今回のランキングに配信開始作品を入れなかったのは、開始日が2021かよく分からなかったからです。
- 「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」
- 「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」
- 「アイム・ユア・ウーマン」
- 「タイム」
- 「シルヴィ 〜恋のメロディ〜」
- 「すべてをかけて:民主主義を守る戦い」
- 「ベイビーティース」
- 「あの夜、マイアミで」
- 「クイーン&スリム」
- 「SNS -少女たちの10日間-」
- 「あの夏のルカ」
ということでまずは上半期終了のある程度のまとめができました。自分は過去作麻ていて、特にドキュメンタリー映画を掘っていたのですが劇場でも素敵な作品を多く見ることができましたね。
すでに下半期が始まり、「スーパーノヴァ」そして「ゴジラVSコング」を観てきてキックオフしています。
まだまだ今週末からは「ブラック・ウィドウ」に「ライトハウス」。「プロミシング・ヤング・ウーマン」など7月も楽しみなラインナップがたくさんですね。
皆さんもぜひ、劇場へ足を運んで、自分のためのベストといえる作品と出会うことを祈っています。
今回は以上です。それではまた。
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