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「シャン・チー/テン・リングスの伝説」”Shang Chi The Legends of the Ten Rings”(2021)

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Shang-Chi-The-Legend-Of-The-Ten-Rings-mcu-movie-2021 映画レビュー
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「シャン・チー/テン・リングスの伝説」(2021)

  • 監督:デスティン・ダニエル・クレットン
  • 脚本:デヴィッド・キャラハム、デスティン・ダニエル・クレットン
  • 原作:スティーブ・エングルハート、ジム・スターリン『シャン・チー』
  • 製作:ケヴィン・ファイギ
  • 音楽:ジョエル・P・ウェスト
  • 撮影:ビル・ポープ
  • 編集:ナット・サンダース、エリサベット・ロナルドドッティル、ハリー・ユン
  • 出演:シム・リウ、オークワフィナ、メンガー・チャン、トニー・レオン、ベン・キングスレー、ミシェール・ヨー 、イン・リー、フローリアン・ムンテアヌ 他

作品概要

Shang-Chi-The-Legend-Of-The-Ten-Rings-mcu-movie-2021

アベンジャーズシリーズのMCU(マーベルシネマティックユニバース)における第25作目にして、「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界を舞台に、新たなるヒーローであるシャン・チーの誕生を描くオリジン作品。

主演はこれまでほぼ映画出演の経験がなく、TVシリーズにて活躍していたシム・リウ。

さらに「フェアウェル」「ラーヤと龍の王国」など幅広い映画で注目を集めているオークワフィナ、映画初出演のメンガー・チャン、さらに主人公の父親役には「インファナル・アフェア」や「HERO」などアジアを代表するトニー・レオンが出演しています。

監督は「ショート・ターム」「黒い司法 0%からの奇跡 」などのデスティン・ダニエル・クレットン。

そういえば腕がブレードになっている悪役の一人としてあのヴィクター・ドラゴことフローリアン・ムンテアヌが出ていますね。つまり今作は実質クリードシリーズ(嘘)。

2020年はMCU作品が全く公開されない年になりましたが、21年は遅れた分の「ブラック・ウィドウ」が公開され、今作も押し出しで遅れてはいるものの年内に公開されました。

「ブラック・ウィドウ」と異なって、こちらは劇場とディズニー+の同時配信公開ではなく、劇場限定公開に。まああっちはその後にスカーレット・ヨハンソンによる訴訟の件もあったりでもめていますし。

こちらの(北米での)興行収入がよかったことともあってか、次に待ち構えている「エターナルズ」も劇場限定公開になっていく見込みだとのこと。

公開週末に早速、IMAXにて鑑賞してきました。

やはりさすがのMCUということもあって(あと一席空けての販売もあるのですが)土曜日の回はほとんど埋まってしまい、日曜に予約開始に合わせてチケット取り。久々にこんな経験をしました。

MCUもドラマシリーズでずいぶんとつないでいたりすることもあって、地味にファンは後追いでも増えてきているんですね。

~あらすじ~

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1000年以上の昔、中国に非常に強力な10個の腕輪を手にした戦士がいた。

彼は腕輪の力により圧倒的な力と不老の肉体を得て、”テン・リングス”という組織を率い歴史に暗躍し、影の世界の王として君臨し続けた。

そして現代、アメリカのサンフランシスコで暮らすショーン。

彼は駐車係の仕事仲間と気楽に毎日を過ごして夜遊びを繰り返し、あてもない日々を送っている。

そんなある日、バスに乗っていると”テン・リングス”の暗殺者集団が現れ、ショーンのネックレスを奪おうとしたのだ。

しかし、ショーンはすさまじい動きで暗殺者たちと渡り合い、乗客を守りながら敵を倒していく。

テン・リングスはショーンにとって過去の存在。

断ち切れない宿命がいまショーンを巻き込み、彼は本当の自分”シャン・チー”として、テン・リングスとその王である父に立ち向かわなくてはならない。

感想/レビュー

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MCU史上最高の近接格闘アクション

MCUもだいぶ長く続いてきており、本当にそのユニバースの広さがすさまじいことになっていますが、またここで一つのジャンル、そして世界を切り開いて見せました。

間違いなくすべてのMCU史上最もフィジカルな格闘アクションにおいてレベルが違う作品です。

カンフーアクションの圧倒的な力をこのMCU世界に轟かせる作品であり、ヒーロー映画としても魔法や超能力、オーバーパワーテクノロジーではない部分で斬新とすら思えます。

映画は3部構成な感じですが、第1部においてのバス戦闘シーン、そして2部に入ってのマカオでのビル壁面竹足場戦闘シーンは本当に惚れ惚れしてしまいました。

何物でもないお思っていた普通の男が、実はめちゃくちゃすごい戦闘能力の持ち主という点が、バスという共通項で「Mr. ノーバディ」と共鳴したのも個人的に面白かったですが、とにかく難しい舞台と全体の進行、各キャラの動きと格闘ですよね。

これだけ複雑な振り付けと、各トンシーン全体の構成、スリリングさまでまとめ上げてしまう。アクションコーディネーターや振付師、ディレクションまでレベルが高すぎる。

私個人としては子どものころよくテレビで見ていたカンフーアクションで多かった、あの竹の足場での複雑なバトルが再び大きなスクリーンで観れたことがすごくうれしいところでもあります。

そんな中でもちゃんとストーリーテリングをしているところも巧みだと感じました。

まあデスティン・ダニエル・クレットン監督起用されている時点で、決して大規模VFX破壊祭りだけの映画になるわけはないので当然ですが、やはりキャラクター、登場人物のドラマこそがこの作品を進めていくことになっています。

今作はヒーローオリジン。ショーンが自らの出自を認め対峙し、シャン・チーというヒーローになる物語。

だからこそ、いかにアクションに重きを置くといっても、その物語はおろそかになってはいけませんからね。

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それぞれのドラマが引っ張るストーリー

全てから逃げ続けてきた、そして目立つことのないように力も封印して生きてきたショーン。

安息の毎日というか、惰性というか。もちろんそれでトラブルはなかったわけですが、バスでの襲撃で変わります。

アクション構成はもう話したのですが、初めてシャン・チーとしての力を発揮するときに、彼はその能力を人を救うために隠さず使います。

地味なところですが、バス内でのシーンで外に出そうになる人を掴んだあのアクションだけでも、シャンの心根の良さを感じ取れますね。

人助けが絡んで初めてそのパワーのお披露目は個人的に最高です(ノートPCは救えませんでしたが)。

心優しき戦士が立ち上がるその覚悟、それは妹のため。

もともとシム・リウ自身が、いわば誰でもないノーバディな俳優です。

キャスト発表時には正直「誰?」という感じでした。おもしろいシンクロを見せていますが、よくわからない普通の青年が大抜擢でいきなり世界規模のスーパーヒーロー映画の主演になったわけです。

ただキャスティングは成功かなと思いますね。

その普通さは意外性というだけでなく、親しみやすさにつながります。ケイティの家に行った際のふるまいとか含めて、シム・リウの気のいいお兄さん感が好き。

MCU一番素直ですよ。彼は重い荷物をもって階段を上る人がいれば迷わず荷物を持ってあげるタイプです。個人的には序盤にケイティの家に行ったとき、朝ごはん食べた後にしっかり食器とコップを流しに持っていくあたりが好き。

ただし、その優しさは過去の2つの罪滅ぼしに思えます。

1つは父からの任務をこなしたこと、もう1つが妹を見捨てたことです。

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ただの支配者でなく深みあるヴィラン

妹のシャーリンのドラマ性も好きですね。

阻害されてきた孤独な女性がついに居場所を獲得する物語でしょう。

兄に見捨てられ、父には力を認められずにテン・リングスへ加入できず。

だから自分のファイトクラブを築いていた彼女ですが、最後にシャン・チーは約束を守り、そしてシャーリンはテン・リングスを手に入れます。

序盤に言われていたことですが、持てる力を正しく正しい場所で隠さずに発揮するは、兄妹共通のテーマです。

あと、トニー・レオン。トニー・レオンだから当たり前ですがめちゃくちゃかっこいい。

アクションもできるし重さもあるし、ウェンウーのスピンオフ見たいくらいです。

特にヤクザ共をぶっ殺していくシーンのブレザー姿にしびれたので、あの辺りの復讐の旅を見たいな。

彼にもまたただの世界支配したい悪者というだけでないドラマがありました。

大御所で存在感ある俳優を、オリジンのヴィランや家族に配置するのは、MCUフェーズワンの頃の方程式のようで懐かしいところです。

それでも造形は確かに「ブラックパンサー」のキルモンガーや、「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」のサノスのように、ただの支配欲ではなくもっと人間的な悩みと弱さ、願望をのぞかせる悪役のものになっています。

こういう点は大きなユニバース展開だからこそのフィードバックと更新になりますね。

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心優しき市井のヒーロー誕生

3幕目ではかなりファンタジックな世界が広がりますがMCUの懐の深さで飲み込んだ気がします。

序盤の伝説の村での父と母の出会いから、水の地図シーン、美しい。そして終盤の大迫力のバトルもスケールが大きくも見やすく構成されています。

ブッチギリ表現でもそこまでにしっかりとドラマを組み込んだから、映像頼りな印象はありませんでした。

やはり父も家族を愛したからこその暴走で、シャン・チーもみんなが家族のため選択し行動していくのは感動的です。

「クレイジー・リッチ」から早3年たちましたが、ついにMCUにもオールアジアン(ほぼですが)スターにての作品が生まれました。

そこには文化もあり、家族を重んじることから生まれたテーマも見えます。

また少しですが、ケイティに見える、世界に旅立った人とか、2世以降の世代の苦労もありますかね。

市井の人としてのヒーロー。心優しきシャン・チーは自らの運命に抗い、人殺しではない道を選ぶ。

これまた見事な新ヒーローの誕生になったと思います。単純に美しくワクワクして熱くて楽しい。これに尽きるかな。

マーベルの下地薄めでも楽しめる内容なので、気になる人は是非。できればIMAXとか大きなスクリーンの綺麗な画で楽しんでください。

ということで今回の感想は以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

それではまた。

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