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「ダーティ・ハリー2」”Magnum Force”(1973)

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映画レビュー
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「ダーティ・ハリー2」(1973)

  • 監督:テッド・ポスト
  • 脚本:ジョン・ミリアス、マイケル・チミノ
  • 製作:ロバート・デイリー
  • 音楽:ラロ・シフリン
  • 撮影:フランク・スタンリー
  • 編集:フェリス・ウェブスター
  • 出演:クリント・イーストウッド、ハル・フルボルック、フェルトン・ペリー 他

大ヒット刑事アクション「ダーティ・ハリー」(71)の続編で、監督はドン・シーゲルからテッド・ポストへ交代。ポスト監督は「奴らを高く吊るせ」(68)でもイーストウッドとコンビを組んでいますね。

そのクールなアウトロー刑事っぷりで大人気を博したハリー・キャラハンがスクリーンに帰ってきました。相変わらずのカッコよさも光らせつつ、今回は自分の立場の確立を目指します。

サンフランシスコ。犯罪蔓延るこの街で、また殺人事件が起きていた。

法をうまくかいくぐる大物犯罪者が、次々に殺害されていたのだ。この件に関して担当にあたるキャラハンは、昔なじみの同僚を疑う。酒びたりになり、犯罪を消し去るために犯罪者を抹殺した方が良いとぼやいていたからだ。

しかし、その同僚も事件に巻き込まれて死んでしまった・・・

一応ミステリーでありながらサスペンスな今作。犯人が警察官というのは、この主題的には非常に面白いところです。

捜査上にはその他の犯罪も出てきますから、そこでハリーと新たな相棒アールをしっかり説明。

ハイジャックではキャラハン節が炸裂です。犯罪ど真ん中に飛び込んで、荒っぽい手だが悪党を蹴散らす。おなじみ超強力マグナムも、壁の後ろに隠れた犯人をそのまま貫通して撃ち殺す破壊力を見せてくれます。

アールの方は、変装しての潜入をする上ショットガンを向けられてもひるまないガッツが見て取れます。主観ショットで銃口の先に映るアールはハラハラドキドキの画面でしたね。

まぁ真っ当な正義感は消し去る演出でして、ハイジャックで犯人を殴る様子も、終盤で犯人の一人を殴るところも暗いです。

後者に至っては、暗がりの中かすかな光がほんの少しイーストウッドの顔を照らす程度で、普通に見たら犯罪者に人が嬲り殺されているような悲惨な画面です。

こうした部分は私は結構好印象で、主人公側にしてもやはり暴力は凄惨でしかないというところでした。

大会で警官のボードを撃ったのはまるで、ハリーが警官だろうと悪は倒すと宣言したようなもの。

自分たちを正義の処刑人とする若き4人の警官たちは、その真っ黒なサングラスが深淵をのぞかせない死神のようです。実際素顔はあまり出ないので、シンボル的な感じ。

原題が「マグナム・フォース」であるように、マグナムを装備した武装集団です。

法というものをうまく盾にして逃げる卑劣な奴らを許せない。

その思想はハリー自身にもあるものです。今回はそのアンチヒーローがどこまで行くのか、超えてはいけない一線とはどこなのかが議論され、ハリーは自身の肥大化した悪のようなものに直面します。

社会的な復讐者になろうとするのは行き過ぎた正義なのか?

たしかに麻薬王も売春斡旋も許せない。この復讐者たちは容赦なく罪人を私刑にしていきます。

車の中で殺された女性の手が社外にはみ出したように、彼女を殺した男が殺されたとき、男の手が同じように社外へはみ出る。

目には目をが画面的に再現されるところに徹底した処刑を感じます。

カーチェイスとバイクチェイスの果てに4人を倒し、白バイヘルメットを海へ蹴落とすハリー。1作目のバッジのように、汚れた正義の象徴を葬ったのです。

しかし大物はまだいました。

こいつもあの4人と変わらず、ある意味では法(警察権力)を利用して犯罪をしているクズの一人。文字通りメンツが潰れた車に乗って最後は散りました。

たしかに犯罪者は憎い。被害者や民衆の怒りの代弁者が求められるでしょう。

しかし今作においてハリーは、同じく罪のない人を殺しては意味がないこと、法を盾に殺人をしてはただの同族であることを示しました。そういったことを学んでいないから、「まだ未熟だ」と吐き捨てたんだと思いました。

そんなわけで、異常者とその一歩手前でとまり戦うアンチヒーロー刑事の映画でした。

それではまた次の記事で。

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