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「セルピコ」”Serpico”(1973)

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映画レビュー
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「セルピコ」(1973)

  • 監督:シドニー・ルメット
  • 脚本:ウォルド・ソルト、ノーマン・ウェクスウェラー
  • 製作:マーティン・ブレグマン
  • 製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
  • 音楽:ミキス・テオドラキス、ジャコモ・プッチーニ
  • 撮影:アーサー・J・オニッツ
  • 編集:デデ・アレン、リチャード・マークス
  • 出演:アル・パチーノ 他

アメリカに実在した警官フランク・セルピコの伝記を基に、アル・パチーノ主演、シドニー・ルメット監督で製作された映画。腐敗した当時の警察組織の中でたった一人で闘った男の話です。

セルピコは警官学校を卒業し、制服警官として署で働き始めるが、横暴な捜査や犯罪者との癒着を目にする。私服警官になるとさらに酷い汚職と腐敗の蔓延に直面。

どうしても賄賂や横領が許せないセルピコは、しだいに他の警官にとって厄介な存在になっていく。

実話を基に作り上げられた本作。胸の苦しくなる空気に満たされた映画です。

もともと社会派のルメット監督によって派手な出来事は起こさずに、確実に嫌な緊張を保っています。アル・パチーノの演技も素晴らしく、理想的すぎず弱さもあるセルピコは応援したくなります。

決してタフガイではないからこそ、押しつぶされそうな焦り、不正への行き所のない怒り、絶望の悲しみがリアルに描き出され、アル・パチーノの演技がそれを完成させています。

警察の人間は犯罪を見逃す代わりに金を受け取り、組織としての凝集性だけが高く、正義も法も軽視しています。

まともな審査は機関すらなく、好きなように甘い汁を吸っています。そんな中でセルピコのような「はずれ者」がいれば、容赦なく攻められる。

彼らにとって、賄賂を受け取らない警官こそ、悪い警官なのです。悪い警官は捜査中に「事故死」したり、仲間の「誤射」で死んだ方がいいと考えているのです。

孤立無援、常に敵の中にいるセルピコは精神的にも追い込まていきます。

ただ彼は金を受け取らないだけ、警官としてやるべきことをしたいだけなんです。正しい人が追い込まれてしまう、責められてしまう。そんな組織や社会は許されるものではありません。

殺されかけながらも、孤独な闘いをやめなかったセルピコのおかげで、アメリカ警察社会は変革されました。

彼のおかげで、多くの正しい警官が救われ、そしてそれによって善良な市民が守られるのです。

二度と自分と同じ目にあう警官がいてはならない・・・それがセルピコの願いでした。

アカデミー賞にノミネートはしたものの受賞に至らなかったのは残念。作品賞にはノミネートすらしていませんし。

「12人の怒れる男」(1957)「ネットワーク」(1976)など私はルメット監督作が好きです。その中でもおそらく1番好きなのがこの作品。

アル・パチーノが演じたのはマイケル・コルレオ―ネやトニー・モンタナなどのマフィアイメージの強い役が多いですが、彼の演じるセルピコはヒーローとして大好きです。

さらりと紹介、感想を書きましたがホントにおススメですので是非!

ルメットとパチーノタッグの「狼たちの午後」(1975)もいつか紹介したいです。

それではまた!

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