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「ラーヤと龍の王国」”Raya and The Last Dragon”(2021)

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raya-and-the-last-dragon-2021 映画レビュー
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「ラーヤと龍の王国」(2021)

  • 監督:ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ
  • 共同監督: ポール・ブリッグス、ディーン・ウェリンズ
  • 脚本:クイ・グエン、アデル・リム
  • 製作総指揮: ジャレッド・ブッシュ、オスナット・シューラー、ピーター・デル・ヴェチョ、ジェニファー・リー
  • 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
  • 編集:ファビエンヌ・ロウリー、シャノン・ステイン
  • 出演:ケリー・マリー・トラン、オークワフィナ、アイザック・ワン、ダニエル・デイ・キム、ジェンマ・チャン、ベネディクト・ウォン、サンドラ・オー 他

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ディズニーアニメーションスタジオの最新作。龍のいる世界を舞台に、邪悪な存在に石にされた父を救うため、分断された国々を冒険する少女の物語。

監督は「ベイマックス」のドン・ホール、そして「ブラインドスポッティング」のカルロス・ロペス・エストラーダの二人。

主役ラーヤの声は「スター・ウォーズ:最後のジェダイ」のケリー・マリー・トラン。

また「フェアウェル」「クレイジー・リッチ!」などのオークワフィナが龍の声を務め、ほかにもダニエル・デイ・キム、ジェンマ・チャン、ベネディクト・ウォン、サンドラ・オーらも出演。

作品がアジアのいろいろな国を参考にした架空の国を舞台にしており、キャラクターや美術もそのテイストがあるので、キャスティングもアジアの色合いが強くなっていますね。

ディズニーのアニメは実は2016年の「モアナと伝説の海」以来なので、結構な期間が空いたことになります。

もともとの公開は2020予定だったようですが、新型コロナウイルスの影響から公開は延期され、最終的にはディズニー+にて配信と劇場公開を同時に行うことになりました。「ムーラン」に続いて配信ではプレミアチケットが必要なようです。

私はディズニー+加入者ではあるんですが、近くの劇場でやっていたので見に行ってきました。どうせならスクリーンで見たいですし。

ただ、今回は昨今の配信+劇場公開の流れに慎重なのか、TOHOシネマズなど大きな配給では興行していないんですよね。なので映画館はミニシアターに行きました。

普段は大手スタジオの作品のかからないミニシアターで、まさかディズニーアニメの新作を観ることになるとは。コロナの影響で生まれた新しい体験でした。

朝一の回で見たのですが、さすがディズニーということで結構人は入っていましたね。

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かつて龍が存在し、人々が調和し平和に暮らす楽園であったクマンドラ。

しかし邪悪な怪物ドルーンから世界を守るための戦いで、龍たちが自らを犠牲にし消えたことから、龍の残した石をめぐってクマンドラは5つの国に分断してしまう。

その一つであり龍の石を守る国ハートの姫ラーヤは、幼いころから最後の龍シスーの伝説を信じる少女。

父は龍の石そのものに力はないが他国はそれを理解していないと嘆き、クマンドラを再興するべく諸国に呼びかけハートで交流会を開く。

しかし、他国の姫ナマーリに騙されたラーヤは石のありかを漏らしてしまい、そこで各国が争ったことで石は砕け、怪物ドルーンが復活してしまった・・・

6年後、解き放たれたドルーンによって石にされた父を救うべく、最後の龍を探しラーヤは旅をしていた。

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「2分の1の魔法」やら「ソウルフル・ワールド」を見ていたのでアニメ自体は久しぶりではなかったのですが、ディズニー・プリンセスが新たに登場するのはモアナ以来ということで実に久しぶりに新しい世界へと踏み込みました。

正直前情報は全然持っておらず、それでもディズニーの完全新作ということと、ティーザーで見たラーヤのクールさや冒険感強い世界などに惹かれました。

結果として、間違いなく鑑賞をお勧めする作品です。特にディズニー+加入者ならプレミアムアクセスを購入してもいいと思いますし、そしてできれば映画館の大きいスクリーンで見てほしい作品です。

これだけのオープンワールド的世界構築を小さなスマホで見たらもったいない、そして音響の面でもやはり映画館での鑑賞をお願いしたい。今あまり公開館数が多くないことが非常に悔やまれます。

様々なアジアの国々を参考にし、いろいろな特色を混ぜ合わせた世界は素敵でした。特定の国だということはできないものの、しかしやはりアジアの色が強い。

ファンタジックな世界は国々の分断をテーマに、それぞれステージを切り替えるように展開されていくので視覚的にも飽きることなくまたとても美しいものでした。

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そうした世界の中でのディテールについて、特に自然というもののCGでの表現の力はさすがです。

特に水の部分ですね。モアナでもある程度到達点と呼んでいい完成度を誇っていたのですが、今作ではさらに磨きがかかったように思います。時々ですが、完全に実写映像を使ったようにすら思えます。

花を浮かべるような静かな水の、ほぼ動かない水面としかし確実に浮力を感じさせる繊細さ。またシスーが水に落ちるシーンがあるんですが、そのしぶき。

これまでどこかぬるっとした質感を持って動いて見えた水が、今作ではその荒々しい飛び散りのきれいではない部分まで再現されています。

また物質の質感も素敵です。石の表面の艶消しになる部分とか、各所に削りあとのようなものがあるところ、石に水が滴り、個体でありながらも濡れるというかしみるところの表現。

シスーのボディは西洋の鱗を纏うものではなく、毛に包まれているものです。そこに雨が当たり濡れる、または海に飛び込んでいるところの表現も素晴らしい。

若干の脂分で水をはじきながらもやはり濡れてペタッとなっているところとか、感心してしまいます。

確実に進化しています。

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ただラーヤと龍の王国の私的な映像ポイントはその画づくりにあります。とにかくカッコいい決め画が多いです。

最初の故郷ハートの訓練シーンでの松明灯る廊下のわくわく感はインディ・ジョーンズの冒険を彷彿とさせましたし、中盤のスパインや終盤のファングでの戦闘についても、シルエットをうまく使っての背景とキャラクターの配置がカッコいい。

今作は良い意味でゲーム的なんですよね。様々なステージが用意されていてキーアイテムを集めていく。そこにはボス戦やチェイスなども盛り込まれています。

その旅の道中では仲間が加わっていきます。

分断された国々の中で、家族を失った喪失その1点を共通項にする今回の旅の仲間たち。

キャラクターそれぞれの立ち具合もありまた声を務めている俳優陣も良かったです。特にオークワフィナは表情豊かなシスーにぴったりで、そのコメディ要素を増す存在としてとても活発でした。

アニメーションとしてはアクション面の強さも今作について言っておきたいところ。近接格闘シーンの多さという面でもいいんですが、割とタクティカルです。

ナマーリがおびえた部下に対して組み伏せるというシーンがあるんですが、首に組み入れるだけではなく運足使って足かけてるんですよね。ほんの一瞬のカットですけれども、その身体の使い方に関しての組み立てを見せていて素晴らしかったです。

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喪失を共有して、傷ついた者たちが集まる旅ということで、やや「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」的な要素も感じられる今作ですが、ひとつまた革新的な部分に展開されていると感じます。

もちろん失ったことや取り戻したいという気持ちもあるんですが、敵を信じることの難しさと勇気、そしてなにより、信じてもらえるということがどれほど自分に力をくれるかということを描いています。

自己の目的だけを優先し他人を信じないで生き抜いてきたラーヤにとって、旧世界の信頼を持って接するシスーはなんとも平和ボケしています。

もちろんそれがシスーのコメディ的タッチにも聞いていて笑えるわけですし、またしっかり騙されてしまう。

しかしそれでもシスーは相手を疑うことはしませんでした。

窮屈で分断されていて、なんとなく他人は危険かもしれないと疑ってしまう今現在の世界にはなんともまぶしくそして暖かい姿勢です。

人々の平和と共存の実現に必要なものは、スーパーパワーではありません。魔法でも超人でもないのです。

ただ敵だと思っている相手を信じること。

ラーヤの第一歩は、難しいことですが真に勇気のいる英雄的行為で感動的でした。

始まりにかけては現在進行形の部分から2段階で過去を語るためキックオフにやや遅さを感じますが、一度走り出していくとステージチェンジの楽しさやキャラクターの賑やかさもありライドしていけます。

飛翔シーンやアクション、遠景のショットでの画もあり是非とも劇場での鑑賞がおすすめの作品です。

ディズニーからの新たなヒロインの冒険はだれでも楽しめる、ある意味でクラシックな冒険でありそして新しい世界であり。非常に楽しめました。

しかしモアナ以来新ヒロインが出ていなかったとは意外でしたね。ディズニーとしては実写化を進めていたこの数年というのもあります。今後さらにどんなヒロインが登場していくのかもまだ楽しみです。

というわけで今回の感想は以上になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた。

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