「アクアマン/失われた王国」(2023)
作品概要
- 監督:ジェームズ・ワン
- 製作:ピーター・サフラン、ジェームズ・ワン、ロブ・コーワン
- 製作総指揮:ウォルター・ハマダ、ゲイレン・ベイスマン
- 原案:ジェームズ・ワン、デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック、ジェイソン・モモア、トーマス・パー・シベット
- 脚本:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
- 撮影:ドン・バージェス
- 美術:ビル・ブルゼスキー
- 衣装:リチャード・セイル
- 編集:カーク・モッリ
- 音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
- 音楽監修:ミシェル・シルバーマン
- 出演:ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、アンバー・ハード、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ランドール・パーク、ドルフ・ラングレン、テムエラ・モリソン、マーティン・ショート、ニコール・キッドマン 他
2018年製作のDCコミックスのアクション大作「アクアマン」の続編。
ジェイソン・モモアをはじめ、前作のメンバーであるパトリック・ウィルソン、ニコール・キッドマン、アンバー・ハード、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世らが再集結。
前作に引き続き、「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン監督がメガホンをとる。
いろいろとアンバー・ハードのことでメラが出てくるのか心配もされていた作品ですが、もっと不安なのは「フラッシュ」よりも前の公開だからとキートンのバットマンが出る予定だったのが、公開が大幅遅れになりベン・アフレック参加での再撮影もあったとか。
それでもなお試写での反応が悪くて再撮影。こういったいじくりまわしはなんだか不安になります。
スタジオの介入とか他の作品との整合性を考えず、見事なクリストファー・プラマーと仕事人リドリー・スコットのおかげで良い出来栄えだった「ゲティ家の身代金」なんて作品もありますが。
ちょっと予定が合わなくて公開週末には見に行けなかったのですが、翌週に鑑賞してきました。
~あらすじ~
はるか昔、南極の氷河の奥深くに封印された「失われた王国」には、世界を滅亡させるほどの力を秘めた伝説の古代兵器、ブラック・トライデントが隠されてた。
ある日、アクアマンへの復讐を誓うブラックマンタがブラック・トライデントを発見し、その邪悪な力が解き放たれてしまう。
彼は強大なパワーを手に入れながら、トライデントに封印されていた呪われた医師に突き動かされる。
ブラックマンタは古のエネルギー源をアトランティス含め多くの海底王国から盗み出し、それを発火させることで世界規模の温暖化と地上と海両方の崩壊を進めていた。
海底アトランティスの王であり、5億もの海の生物を操る力を持つアクアマンは、かつてない脅威から海と地上の世界を守ろうとするが、ブラックマンタ襲撃を食い止められなかったことを追うとしての責任問題で批判されてしまう。
非常事態に対して、アクアマンは宿敵であり幽閉されている弟オームのもとへ向かうのだった。
感想/レビュー
半分人間で半分は海底人。
混血と揶揄されています正当な存在ではないとされ、明るさの中に影を持ちながら、2つの世界の架け橋となったヒーロー、アクアマン。
1作目はかなり好きな映画で、ストーリーもアクアマンというヒーローも、そして海の中の大冒険という視覚的な楽しさも含めて印象に残っています。
その続編で、しかもキャストはほぼ変わらず監督もまたジェームズ・ワンで、楽しみにしていた作品でした。
ただ、結果としては「アントマン&ワスプ クワントマニア」を思い出すような(あそこまで酷くはないですが)空虚なアクアマン映画になってしまったと感じます。
全てに置いて軽い。重さが働いていないのです。
一つめにアクション。前作では縦横無尽、上下左右のない水中でのバトルシーンに置いて、迫力がありその重量や抵抗を感じながら楽しむことができました。
しかし今作ではなぜかそこに、重さを感じることができませんでした。
フィクションだというのは分かっていても、それでもこうした舞台での戦闘だったらこうなるんじゃないかというその場での力学とかは必要だと思います。
そこに対してなんだか軽い。アクアマンが傷つくという描写もなくて、なんだか脅威もあまり感じない。
前作の様々な海の世界を冒険する感じもなく、ステージは複数用意されていますが、印象に残りません。
相変わらずホラージャンルの経験を活かしてなのか、気味の悪いモンスターをぶち込んでくるテイストは良いところですけれど。
そして軽いのは人物の動機づけというか、ドラマそのもの。
こんなに薄っぺらかったっけ?というレベルの話。おそらくこれって編集のせいじゃないのかと思います。
話運びはテンポが良いのではなくて、すべてがダイジェストレベルに流れていくだけなんです。
観客が感情を飲み込んだり処理したりもしない。何度も繰り返す暗転による場面遷移も見飽きるしぶつ切り感がすごい。
ちょっと何かをやって、サラッとなんか言ったらすぐに暗転。今度はシリアスな空気で少し話して、決め台詞言ったらすぐ暗転。
ぶつぶつと切られていて、乗る前に次に行ってしまう。
そもそもブラックマンタの復讐の物語自体は、前作でもやってるわけですから、彼にさらに力を付与するとかであれば、もっと彼の方を掘らないと。
本当にブラックマンタが敵として別に怖くもないし印象にも残らない。ブラックトライデントをもって話の中心にいるはずなのに。
家族のきずなや愛、贖罪をテーマに入れてるならブラックマンタもそれ全部描きこめるでしょうに。ただの悪役のアイコンでしかない。
一番ドラマチックだったのがまさかシン博士とは・・・
「ブラックパンサー」のまねごとにしか見えない、共生のための地上での会見シーン含めて、やりたいととか掲げたいことは分かるんですが、一方でその言葉もなにも就活するときの大学生くらいに薄っぺらい。
王の市政については、そもそも前作で王の資質をアーサーが示したから王になってるんじゃなかったかな。
実務面もすべてにおいて王が担うっていうのがまず飲み込めません。
あれはただのギャグなのか。父親業とかも混ぜてますけど息子誘拐されて助けに行く下りだけなら足りない。
軽すぎてスナック菓子レベルです。ジャンクフード、ファストフードにもなれていない。空っぽで満足すらしないから。
アトラクション映画というのも大事ですが、アトラクションが欲しいんじゃないんです。せめて映画にしてよと思います。
ぶつ切りのカットシーン集の寄せ集めで、その連続の中にドラマを置けないのならもっと要素をそぎ落として脚本を練りこんでほしいです。
編集はかなり気になります。
個人的には全く刺さらない作品であり、アンバー・ハードの件からの再撮影の影響とかがあったにしても、ほめられない作品でした。
感想はここまで。今回は酷評になりました。
ではまた。
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