「コンティニュー」(2021)

  • 監督:ジョー・カーナハン
  • 原案:クリス・ボレイ、エディ・ボレイ
  • 脚本:ジョー・カーナハン、クリス・ボレイ、エディ・ボレイ
  • 製作:ジョー・カーナハン、フランク・グリロ
  • 音楽:クリントン・ショーター
  • 撮影:フアン・ミゲル・アスピロス
  • 編集:ケビン・ヘイル
  • 出演:フランク・グリロ、ナオミ・ワッツ、メル・ギブソン、アナベル・ウォーリス、ケン・チョン 他

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「バッドボーイズ フォー・ライフ」などのジョー・カーナハン監督と、「ウォーリアー」「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」などのフランク・グリロ主演で贈る、タイムループSFアクション。

なぜか暗殺者集団に命を狙われ続けるループに陥った元特殊部隊員が、原因と黒幕を突き止めるために死んでは繰り返される毎日を奔走します。

グリロの妻役にはナオミ・ワッツが出演し、彼女が努める機密機関のボスにはメル・ギブソンが出演。

作品の構想自体はかなり前からあったもののようですが、なかなか撮影開始には進まずにいたようです。

2017年ころになってようやく企画が動き出し、2019年には完成していて一部で先行上映もあったのですが、配給権が切り替わったことによってHulu配信になっています。

その後北米では3月ころ、日本では6月に劇場公開される運びとなりました。

あまりマークしていなかった作品でしたが、昨今いろいろと大作(というかシンプルアクション)に飢えていたこと、個人的にフランク・グリロが好きなことで観に行きました。

後悔初週ということもあるのか、そもそも箱が小さいからか、ほとんど満員に近いくらい混んでいました。

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元特殊部隊員のロイはある1日をかれこれ140回ほど繰り返している。

彼は目覚めてからずっと暗殺者集団に狙われ続けるという1日を繰り返しているのだ。

パターン化してきたことである程度は流れ作業で対処できるが、いつも敵の正体もわからずある時点でゲームオーバーとなり殺されてしまう。

ループの中で彼は昨日を思い返してみた。

元妻が働く研究所に会いに行ったことやそこでの警備員の不審な態度など。何より、妻がやたらと郵送物について念を押していたことだ。

一応その郵送物を確認すると、よくわからない古代エジプトの神々いついての本が入っている。

その中で死者の神となったオシリスが記されており、妻がささやいた言葉と一致した。

研究所とこのループに何らかの関係があり、妻こそが自分をループに組み込んだことを知ったロイは、その理由と自分を殺そうとする集団の黒幕を知るため、再びループに励み始めた。

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正直飽き飽きするくらいに量産されたループもの映画。

「恋はデジャ・ヴ」から始まって今年は素晴らしき「パーム・スプリングス」も公開され、今作のようなアクションSFでは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」も存在します。

溢れかえるこのジャンルのなかで、ジョー・カーナハン監督は軽さとエネルギッシュさで勝負しています。

全体にテイストをTVゲームよりにし、リトライと攻略というゲームシステムを根底におきながら、なによりそのライトなテイストでアドレナリンを出すことに特化しています。

集約点として機能しているのが、フランク・グリロです。

彼の俳優としての幅というかキャラというか、良い意味でホントにゲームの主人公っぽいんですよね。

あまり重々しく現実的な生々しさは出さずに、しかし薄っぺらな張りぼてでもない。

特にこの作品ではこれでもかと喜怒哀楽に満ちたロイを演じてて、彼に非常に合った役だと感じました。

もう50を超えているのにまるでモデリングCGかのような肉体をしていますが、画としてもザ・アクションゲーム主人公。

革ジャンに(ご丁寧に車とセットで奪った)サングラスをかけたスタイルから、FPS系っぽい傭兵コスチューム。

ハマっていました。

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ただドラマ部分でもちゃんと彼に共感できる点も良かったですね。

その主人公造形よろしく、他のキャラクター(特に暗殺者集団に警備主任)も人間というか敵キャラです。

彼らからは人間性とか背景ドラマとかは排除されていますし、巻き込まれて死んでしまう人が出てこないのもまた、シンプルかつ良い意味で人の命が軽いゲーム感覚が増長されていました。

観客はロイを追いかけながら何度もリトライをしていくという仕組みになっていますが、情報共有の具合も良かったです。

この手の話で一番危険に思えるのが、主人公と一緒にループするはずが、主人公が一人歩きする点です。

観客と知っている情報に差が出始めてしまうと主体性は切り離されてしまい、それこそ綺麗なデモプレイになります。

でも今作は、まるでゲーム実況者がプレイしながら新しい発見をし、徐々にスキルを身につけて成長していくのも一緒に見ているような心地よい距離感があります。

先へ進むのは間違いなくロイですし、そのロイが観客と同じ視点と知識に保たれるこのバランスはスゴく大事だと思うんです。

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終わり方に関して賛否あるかと思いますが、これこそカーナハン監督のスタイルだと私は思います。

「THE GREY 凍える太陽」も同じでした。

主人公が真の問題と向き合い、本気でサバイバルを決めた瞬間がゴールです。その後は重要ではないんです。

今作はループを通してロイの”見えていなかった事実”や”ループ以前の取り返しのつかない過去”を描いています。

いなかった家庭、かけなかった言葉に見なかった郵便物、出なかった電話。

取り返せないものがそこにありますが、それでもそこから目を背けずに今できることをする。

最後にループが閉じることは、つまりロイは死を迎える可能性が出ること。

今度は「何度でもやってやる」ことはできません。

リプレイは不可能な現実に戻るロイの前には、その懺悔を聞いたジェマもいないし、息子には彼と過ごした時間の記憶もない。

それでも良い。

映画の終わりは観客の現実が再起動される瞬間になっているわけで、ループの効かない本気の人生があるんです。

ぶっ飛ばしていくエキサイトライド感を武器に、何度となくループされたジャンルにまた新しい風をいれていく。やはり最後のキレがカーナハン監督らしくて好きですね。

隙のある作品ですし、ゲーム的なのはCGIの予算感もですが、総じてバランスよく楽しめるループものになっていました。

快活な作品で楽しみたいという場合にはオススメの1本です。

というところで感想は終わりです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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