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「たかが世界の終わり」”It’s Only the End of the World” aka “Juste la fin du monde”(2016)

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映画レビュー
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「たかが世界の終わり」(2016)

  • 監督:グザヴィエ・ドラン
  • 脚本:グザヴィエ・ドラン
  • 原作:ジャン=リュック・ラガルス 「まさに世界の終わり」
  • 製作:ナンシー・グラント、グザヴィエ・ドラン、シルヴァン・コルベイユ、ナタナエル・カルミッツ、エリーシャ・カルミッツ、ミヒェル・メルクト
  • 製作総指揮:パトリック・ロイ
  • 音楽:ガブリエル・ヤレド
  • 撮影:アンドレ・トュルパン
  • 編集:グザヴィエ・ドラン
  • 出演:ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ 他

「トム・アット・ザ・ファーム」(2013)、「Mommy/マミー」(2014)などで非常に高い評価を受けるカナダの若き天才グザヴィエ・ドラン。

こちらは彼の最新監督作で、脚本と編集も彼が務めたものです。原作はジャン=リュック・ラルガスの戯曲だそうですね。ちなみに今作は全編フランス語です。

それも、フランスの名優ばかり集めたものですからね。

主演は「ハンニバル・ライジング」(2007)や「SAINT LAURENT/サンローラン」(2014)のギャスパー・ウリエル。

彼の家族としてボンドガールも演じたレア・セドゥ、何度もセザール賞を獲得しているナタリー・バイ、さらにヴァンサン・カッセルと「マリアンヌ」(2016)が公開したマリオン・コティヤールも出ています。

ドランの映画って観に来ている人が、ほかのアートハウス系に比べ多いです。若い女性が多くいて、満員に近い状況でしたね。まあ公開初日ってのもあったでしょうけど。

若くして名声を得た作家のルイは、12年ぶりに故郷は家族のもとへと帰る。

家には母、兄そして幼い時に家を出ていたせいでよく知らない妹、兄が結婚した義理の姉が待っている。ルイはこの家族という人たちに、あることを打ち明けるために帰ってきたのだ。

それは、自分がもうすぐ死ぬということだった。

ドラン監督がこの作品で描いたのは、家族という他人。突き詰めてみれば赤の他人と同じ、別の人間たちでしたね。

この作品で描いていることとか手法に関しては好きなところもあれど、個人的に今回はあまり好きな作品ではなかったです。「Mommy/マミー」の方が私的には好みでした。皆さんはどうだったかな?

えーと、非常に窮屈で居心地の悪い映画なのは確かだと思います。それはルイの感じている空間と空気をそのまま観客に見せようとしているからだと思いました。

まずロングショットを使った現実感というのもありますが、とりわけ大きなポイントは撮影ですね。もう役者の顔に近すぎるほどに寄って撮るんです。

この個人空間への踏込というような不快感、画面からすごく伝わるようになっています。

そして台詞周りでも、非常に浮ついた印象が強く、会話をすることが目的となっているために空虚であり、また何かと我の強い人物たちがすぐにぶつかり合い喧嘩になっていく。

見事だな~と思ったのは、兄とのドライブシーン。ずっと長回しでとらえるこの兄弟の会話ですが、接触しないという時間があまりに長すぎた故に、もはや互いに誰なのかわからないような感覚です。そしてエンジンが噴かされ、緊張と共に唸りを上げるあのシーンはかなり好きでした。

しかし、全体としては話が冷たいからとかではなくて、もっと別のところで私は好きではないのです。

それはこの作品が描きたいことよりも、描き方がでしゃばっていると感じてしまうからです。

とにかく、撮影はしつこすぎるし接写一辺倒に思えますし、途中で挿入されている、おそらくは輝いていたころを思わせる音楽も唐突でうるさいです。

台詞に関してはもうメタファーとか深層部をくみ取ってねと言わんばかりで、不自然過ぎて疲れます。

もろに芸術的であるという事を推し出すようなものですから、逆にこちらが気付いたり感銘を受ける余裕もなく、ひたすらに説教されているような気分でした。

本来は人が真に安らげる場所であるはずの家。そして暖かく自分を迎える家族。

そんな無条件さを究極的に冷たい目で見直し、人は人でありそれは一人の人間ゆえにみな孤独であるとする。

人が根源的に抱えているのは、生きているときはみな共に生きているという優しさの裏にある、逆にどんなに知らない人間であろうと共に生きるしかない窮屈さと束縛。

そしてもう一つ、死ぬときはどんなにあがこうと一人であること。

ふと、この家族という、母や父、兄弟という人は何者かと思う。当たり前に存在しているが、目の前にいる人は誰なんだと。

本質的に人が同一化することはなく、孤独であることは不変の真理です。それを伝えはするものの、それだけで終わる本作。そして伝え方はこれ見よがしにアーティスティックというか、もはや意味不明。

最後はちょっと安易に思える光と鳥で、私は疲れました。

うーん、あまり合わなかったです。良い撮影もあり、演技はみんないいんですがね。

とりあえずドラン監督の新作ですし、映画館でチェックなのは間違いないですけど、今回は乗れなかったということで。感想は終わりです。では、また。

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