「ランボー ラスト・ブラッド」(2019)

  • 監督:エイドリアン・グランバーグ
  • 脚本:マシュー・シラルニック、シルベスター・スタローン
  • 原案:シルベスター・スタローン
  • 製作:アヴィ・ラーナー、ケヴィン・キング・テンプルトン、ヤリフ・ラーナー、レス・ウェルドン
  • 製作総指揮:リュウ・ロン、チャン・クン、ルイス・アリオラ、ジェフリー・グリーンスタイン、ジョナサン・ヤンガー、クリスタ・キャンベル、ラティ・グロブマン、アリエル・ヴロメン、ジェフ・ガム
  • 音楽:ブライアン・タイラー
  • 撮影:ブレンダン・カルヴィン
  • 編集:トッド・E・ミラー、カーステン・カーパネック
  • 出演:シルベスター・スタローン、パス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、オスカル・ハエナダ、イヴェット・モンリール 他

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「キック・オーバー」のエイドリアン・グランバーグ監督が描く、シルベスター・スタローンの代名詞であるあの「ランボー」シリーズの最終作。

主人公ランボーはもちろんスタローンが演じ、今回は愛する養女を人身売買に巻き込むメキシコ麻薬カルテルと対決します。

麻薬カルテルを追うジャーナリスト役にパス・ベガ、またカルテルのボス兄弟にはそれぞれセルヒオ・ペリス=メンチェータとオスカル・ハエナダが出演。

スタローンは自身のシリーズに関して、「ロッキー」は「ロッキー・ザ・ファイナル」また「クリード」シリーズなど華やかな締めくくりと再びの入魂を果たしており、このランボーシリーズも「ランボー 最後の戦場」がラストと思っていました。

なのでランボーの新作と聞いた際には、いったいあと何を描きたいのだろうかと思い、今作は楽しみにしていました。

北米公開後に一切日本公開情報がなく、しばらく不安でしたが、無事に公開まできましたね。

コロナ下ではありますが、そこそこ人は入っていました。しかし若い人は全くいないです。

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かつてベトナム戦争に従軍し、最強の戦闘マシンとして活躍したジョン・ランボー。

その後いくつもの軍事作戦に参加してきた彼だが、ベトナムでの凄惨な戦争、そして友の死の記憶が呪いのように彼に付きまとっていた。

そんなランボーは今、養女となったガブリエラの成長を見守り、彼女の幸せを願っている。

しかし、ガブリエラが自分を捨てた父を探してメキシコへと渡り、そこで麻薬カルテルの売春組織に誘拐されてしまう。

ランボーはガブリエラ救出のために単身メキシコに乗り込むが、カルテルのボス率いる集団にリンチされてしまう。

虐げられ、傷つけられ、何よりも大切なガブリエラを奪われたランボーの中で、おぞましい怪物がフタを破り解放される。

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ランボーシリーズはそれこそ「ダイ・ハード」シリーズにも言えるような、オリジナルである1作目のテーマが、シリーズ化されていく中で大きく変わっていったように感じています。

PTSD鬱映画であった初めの「ランボー」とそれ以降ではだいぶ映画としてのジャンルが異なるのです。

後続はむしろマッチョアクション色が強く、エンタメに傾いていたと感じます。

そこで「最後の戦場」は私にとっては源流、暴力を植え付けられた男が安らぎへ向かう話として結構好きで、いい締め括りだと感じていました。

しかし、さらにその後の話として今作が描かれます。

そしてそこには非常に良いところもあるのですが、混在する要素がぶつかり合い、ランボーの物語としてはあまり好きではない着地をしています。

今作は全体で言うと後続シリーズ寄りでアクションスリラーです。

特に終盤はショーの始まりと言わんばかりにブービートラップ殺戮祭り。

それはそれで悪人どもを血祭りにあげるので爽快ではあります。

でもそれで良いかというと難しいように思えます。暴力は凄惨であり嫌悪すべきではないかと。恐れるべきではないかと。

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暴力によって不可逆的に変えられてしまう人間の本質と、そうまでした大義があっさりと覆る残酷さ。

それがランボーの魅力であると、ニューシネマ的な暗さであると考えている私にとっては、今作は何にしても大儀というかシステム的にランボーが狂気に走るわけではない点がひっかかってしまう。

これまでは言ってしまえばランボーは常に軍事行動の中にいたわけで、それこそ強制力が働いていました。

選択の余地のない世界で、生きるために殺す。

それが今作ではないんですよね。

まあもちろん、ランボーにとって今回は完全に私情、個人的事情での闘いになるというのは新しいものの、やはり暴力のむなしさなどの憂いは感じず、やたら派手なマチズモスプラッタバイオレンスアクションになってしまった印象です。

鎖骨引きずり出しとか豪快で、悪人がマジで人間の屑なので、変にかわいそうに思う必要もないよう配慮されてはいますけれど、最後のホームアローンに関しても空間構造やスタートとゴールが見えなくて、すごく散漫です。

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ジャーナリストのように、機能しか持っていなくて人物として描きこみが足りない人が多すぎますし、メキシコ麻薬カルテルの描写も、国境描写も「ボーダーライン」に比べたら生易しすぎる。

大味で展開も練られていない感じで、ランボーをアイコン的に追いかけて見せているにすぎないと思います。

罠を作ったり銃やナイフなどが得意だったり、原始的アイテムで暴れる男。

暴力に飲まれた、心の黒くなった男は、もう元には戻れないのだという話だとすれば、好きではないです。

冒頭で、今なお人を救うことで自らの罪と向き合い、赦しを探すランボーに胸を打たれた自分としては、話が進んでいくごとにただの殺し屋になっていく姿にはどうしても納得いかないのです。

色々と贖罪映画ってありますよね。似てるのは「グラン・トリノ」とかでしょうか。

向かおうとした方向は、システムではなく個人として大切なものを得て、そのために戦うランボーでしょうけれど、どんどんシリーズでついたイメージが邪魔した結果、血みどろのバイオレンスアクションになってしまいました。

初めのころの平和描写は好きですが、後はどうにもノレない作品でした。

ランボーシリーズの最後ということで気合の入ったEDがあるので、シリーズのファンであれば観てみましょう。全然知らないという方は、とにかく初代の「ランボー」を観てください。

今回はこのくらいになります。巧く言いたいことがかけていない気もしますが、最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それでは、また。

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