2020年上半期映画ランキングベスト10

今年2020年もすでにこのタイミングになりました。

残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響からしばし映画館自体が閉館していたことや、上半期公開予定作品の延期があり、想像していたラインナップとは異なりました。

それでもアカデミー賞関連の作品、小さな作品、大作、数は少なかったのですが、良い作品に出会うことはできました。

ランキングに関係ないですが、映画製作、配給、興行すべてに関わる人には一層の感謝をしたいと思う、そういう意味ではとてもいい上半期でもあります。

映画がどれだけ自分にとって大切なのか身に沁みましたからね。

関係ない話しはここで区切り、いかに個人的に好きだった10作品を紹介します。

第10位「ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏」

監督:ジャスティン・ケリー

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私は多層に連なるメタ構造が好きです。また、演技の中の演技というのも好物です。そうなれば、この作品は非常に楽しかったわけで、ランキングになんとか入れたいと考えていました。

何よりもローラ・ダーン、クリステン・スチュワートの演技とそれぞれにかかるレイヤーを楽しんだ作品になります。

ちょっと物足りない点もありますが、なにかのペルソナを必要とし、それによって表への跳躍を可能にしながらも、ペルソナにパーソナリティが乗っ取られること含めて、人間というものの多層さが楽しめるものでした。

「ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏」のレビューはこちら

第9位「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

監督:グレタ・ガーウィグ

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グレタ・ガーウィグ監督の2作品目は、少女の成長期であり、古典。

しかし、非常によく現代的眼差しが向けられながら、古典を尊重しながらのバランスが素晴らしい作品でした。

何にしてもフローレンス・ピューが光り輝いていて、自分自身にとっての若草物語が誕生する瞬間は素晴らしい体験になりました。

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のレビューはこちら

第8位「ペイン・アンド・グローリー」

監督:ペドロ・アルモドバル

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アルモドバル監督の自伝的映画がここに。

かなり個人的な映画なのに、とても普遍的で、生きていく上での痛みが重なったバンデラスの味わい深い脆そうな感じがたまらないです。

もちろんペネロペ・クルス演じる気丈なお母さんも忘れがたく。

人生の流れの中で、痛みも愛しながら生きていく清々しく優しい気持ちで観終えらえる作品でした。

「ペイン・アンド・グローリー」のレビューはこちら

第7位「ルース・エドガー」

監督:ジュリアス・オナ

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正直びっくりした作品で、グッと評価を上げてここにランクインです。

まず、演者のアンサンブルの楽しさ。ケルヴィン・ハリソン・Jrの圧倒的なルースの造形に完全に叩きのめされました。

これもまたペルソナやレイヤーの重なりを非常に楽しむことのできる作品で、さらにその構造をただの遊びではなく、アメリカ社会の暗部や課題点をあぶりだす要素として活かしています。

とにかくパワフルでスリリングで、非常に楽しかった作品でした。

「ルース・エドガー」のレビューはこちら

第6位「彼らは生きていた」

監督:ピーター・ジャクソン

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こちらはドキュメンタリー映画。ピーター・ジャクソン監督が、膨大なアーカイブから第一次世界大戦に赴いた若者たちの当時の映像をカラー、デジタル処理し蘇らせた作品。

なにより意義がすごく感動的です。戦闘ではなくて、戦争の中に失われていった当時の彼らの青春を、鮮やかにしてくれる。

現代技術が映し出す彼らの笑顔がとにかく忘れがたく、一人一人の、彼らなりの楽しい時代を観ることができて本当にうれしく思いました。

サム・メンデス監督の「1917 命をかけた伝令」もあった事もあり合わせて奥深くなった作品でした。

「彼らは生きていた」のレビューはこちら

第5位「マザーレス・ブルックリン」

監督:エドワード・ノートン

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都市開発、50年代NYC、私立探偵。つまり好物。

エドワード・ノートンが監督作として選んだものですが、原作とは結構異なる展開のモノの、現在のアメリカに直結する投影がなされていて、かつすごくプロダクションデザインが突き詰められているノワール。

ジャンルの空気が詰まりながら、声なき弱者たちの物語であり。「インヒアレント・ヴァイス」みたいな、無垢さやどことなく寂しい中に少しの反抗を感じる素敵な作品でした。

サントラ最高です。

「マザーレス・ブルックリン」のレビューはこちら

第4位「ワイルド・ローズ」

監督:トム・ハーパー

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ここで上半期滑り込みの傑作。

これまで幾度となく語られてきた、田舎町で夢を追うお話で、常にありきたりな展開からすり抜けながら、非常に現実的にしかし優しさに満ちた作品。

ジェシー・バックリーが何にしても輝いていて、演技も歌唱も最高。女性の話でありますが説教臭くはなく、本音で人生を語る素晴らしい作品でした。

こちらも最高なサントラ案件です。

「ワイルド・ローズ」のレビューはこちら

第3位「チャーリーズ・エンジェル」

監督:エリザベス・バンクス

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興行がよくないとか、評価が低いとか知った事ではありません。私は好きなのです。

エリザベス・バンクス監督は一切の男性のための瞬間すら持たせない新生エンジェルを、男子が夢中になるのではなく、女の子が憧れる対象としてのエンジェルを誕生させました。

主役3人のそれぞれの魅力に、パワーバランスが一瞬で逆転する最高の瞬間、ファッションも含めて自分には最高に楽しい作品でした。

「チャーリーズ・エンジェル」のレビューはこちら

第2位「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」

監督:セバスティアン・レリオ

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実はもう2年くらい前に観ていた、セバスティアン・レリオ監督の純愛映画。

しかし初めて劇場で観ることができて、やはり本当に傑作だと思うのです。二人のレイチェルの示す人の愛、そして何よりアレッサンドロ・ニヴォラ演じるドヴィッドの存在が示している、人の赦しや抱擁の力。

私たちは自由であり、選択できる。それが私たち人間を、この世界のどんな存在よりも特別にしてくれる。

人間であるということは、自由であるということなのです。本当に素晴らしい作品です。

「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」のレビューはこちら

第1位「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館」

監督:ライアン・ジョンソン

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さて、上半期多くの好きな作品の中で、一番を選ぶというならということで来たのは、ライアン・ジョンソン監督による古風なミステリー。

理由は結構単純で、こういう作品があるからこそ映画を観るのをやめられないということです。

いまさらの大富豪殺人事件。ありきたりな怪しい一家。もう何度も観てきた風変わりな探偵。

それでもしっかりとした脚本と演技アンサンブルで構築し、さらに現代ならではの視点と、変わらない善意を入れ込むことで、何度でも鮮烈に人を楽しませてくれる。

素晴らしいです。

上半期最高の善人マルタはきっとこれからも忘れずにいることでしょう。

「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館」のレビューはこちら

ということで、2020年上半期の個人的ベスト10作品の紹介でした。

本来であればここには「ブラック・ウィドウ」や「ワンダーウーマン1984」それに007などの大作も入っていたかもしれません。

また7月に公開予定の「WAVES/ウェイブス」や「透明人間」も本来ならば上半期の中で楽しんだと思います。

今年は特別な事情で上半期は少ない鑑賞数になりましたが、それでも上記のような素敵な作品に出会えました。

下半期は待たれていた作品がまだまだリリース予定。また年末にはみんなそろった中で、2020年の、20年代のベストを選べるといいなと思います。

ちょっと短いのですが、今回はこのくらいです。

こうしたランキングは今度は年末になるかと思います。それではまたその際に。

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