「355」”The 355″(2022)

「355」(2022)

  • 監督:サイモン・キンバーグ
  • 脚本:テレサ・レベック、サイモン・キンバーグ
  • 製作:ジェシカ・チャステイン、ケリー・カーマイケル、サイモン・キンバーグ
  • 音楽:ジャンキーXL(トム・ホーケンバーグ)
  • 撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ
  • 編集:ジョン・ギルバート
  • 出演:ジェシカ・チャステイン、ルピタ・ニョンゴ、ダイアン・クルーガー、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、セバスチャン・スタン、エドガー・ラミレス、ジェイソン・フレミング 他

作品概要

The-355-movie-2022

長らく「X-men」シリーズの製作や脚本などにかかわり、「X-men:ダーク・フェニックス」で初監督デビューを果たしたサイモン・キンバーグ監督によるスパイアクション映画。

各国の諜報機関のエージェントたちが集まり、協力して凶悪なテクノロジーテロを食い止めるために奮闘します。

主演は監督とは「X-men:ダーク・フェニックス」でも組んだジェシカ・チャステイン。

また「女は二度決断する」などのダイアン・クルーガー、「ブラックパンサー」などのルピタ・ニョンゴ、「X-MEN:フューチャー&パスト」のファン・ビンビン、「ペイン・アンド・グローリー」のペネロペ・クルスが出演しています。

着想自体はジェシカ・チャステインからの提案によるもので、今作は女性版のボンドやMIシリーズ的なものを目指したとか。

ちなみにタイトルの”355″というのは、アメリカ独立戦争下に実在した女性スパイのコードネームだそうです。

一番初めに予告が公開されたときに興味がわき、サイモン・キンバーグ監督ということでちょっと不安を。

しかしジェシカ・チャステインとまた組んでいることとか、そもそもダーク・フェニックスも良いところは光っていたために鑑賞予定に。

割と公開の規模は大きいのかいろいろなところで観れるのですが、私は小さめの映画館で公開の週末に観てきました。

「355」公式サイトはこちら

~あらすじ~

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南米の麻薬カルテルにより、あらゆる機器端末にハッキングしコントロールできる小型デバイスが開発された。

カルテルを調査しているコロンビアの操作組織が現場に突入し銃撃戦に展開、デバイスのバイヤーは逃走してしまうのだが、特殊部隊の1員はデバイスを盗み自分で売り出そうとしていた。

アメリカの諜報機関CIAに所属するメイスは、このデバイスの回収任務に就くことになる。

メイスは相棒のニックと共に特殊部隊員を負うが、同じくデバイス回収を狙うドイツの諜報機関BNDのメンバーであるマリーに邪魔され、ニックは特殊部隊員の追走で命を落としてしまう。

メイスは敵討ちも含めてデバイス奪還のため、友人であり元MI6のハディージャに協力を依頼。一方で特殊部隊員はコロンビア側から送られてきたセラピスト、グラシエラと接触。

再びデバイス奪還のための戦いが始まり、特殊部隊員はコロンビアに裏切られ死亡、デバイスは武装組織に奪われてしまう。

悪の手に渡ることを阻止したいという思いで、所属組織を超えて、メイス、ハディージャ、マリーそしてグラシエラは協力し、武装組織に渡ったデバイスの追跡を始めた。

感想/レビュー

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正直に言ってサイモン・キンバーグ監督作って決していい出来の映画ではないです。

薄く表層的な部分も多く、見飽きた展開もあり演出描写もクリシェや安っぽさが目立ちます。

なのでこの作品についてもあまりいい評価をする感じではないのかと思います。

少なくとも脚本上は込み合っているようで簡素、アクション映画としても時代を変えていくようなレベルではないと思います。

見飽きた設定や浅い描写

序盤の畳みかけるような舞台、人物関係の説明と展開にはあまりに感情が入り込む余地も準備もなくておいてかれます。

メイスとニックのロマンスについても、まだ何も知らない二人の人間が急に過去を語り、永遠の絆と愛があるといわれても、呑み込めない。

任務のパートナーにおける恋愛とか、その後のニックとメイスの展開。

またマリーと上司の関係性やハディージャのことも含めて、なんとも陳腐な設定ですし、見飽きた退屈さをカバーしようというひねりも重厚な演出もありません。

もちろん、ダイアン・クルーガーやルピタ・ニョンゴの演技自体は別レベルに引き上げようという意気込みも見えますし、俳優陣はみな素敵だったと思いますが。

そんな感じで作品のトーンや調子がつかめるまでにやや時間がかかった印象ですし、序盤で見せるべきアクションについて(とくに魚市場から港)はあまりにカメラ揺れやカット割りが多すぎて2000年代アクションを思い起こさせる見づらさでした。

好きになれる作品

と、さんざん言っておいてなんですが、私は結論としては今作が好きです。

好きになれる要素を持っているというべきで、それは監督のデビュー作「X-men:ダーク・フェニックス」にも同じことが言えると思います。

王道中の王道であるといえばその陳腐さもカバーできるのかもしれません。ただむしろ、良いところや良い試みという点に行為を持てる作品になっているんだと思うのです。

女性版007とか女性版ミッションインポッシブル、女性版オーシャンズの感じはありますが、別にすごいスパイ映画として長けてるわけでもない。

ただそいういうことがしたいと明確に分かります。素直なのです。

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女性にとって家族を持つことの意味

女性版とするチームものではスティーブ・マックイーン監督の「ロスト・マネー」が、女性にだけ抱えさせられており男性が無条件に解放されている負荷を入れ込んでいました。

今作でもグラシエラに関してまたハディージャにもそれが見えます。

家庭を持っている意味合いが、仕事に対する影響において男女では異なる。

都度都度自宅に電話するシーンが挿入されますが、あまり男性チームものにはない描写で良かったです。

ぼっちのメイスに対して若干気を使ってるマリーとかちょっとかわいらしい。

男女で区別される”ローグ”になる理由

男性たちについてはセバスチャン・スタンがエロいけどいけ好かない野郎をエロく演じていてよかったですエロくて。

象徴的に感じるのは、男性たちにおける動機とこのメイスたちの動機の際ですね。

ニック含めて多くの裏切り者は男性で、理由も私利私欲しかありません。デバイスと世界の関係性や人命は関係ない。

対して、たしかにイーサン・ハントとIMFのように組織から離脱して追われる身になってしまう、ある意味男性たちと同じく独立するメイスたちの動機はどうでしょうか。

彼女たちは大切な人を守るために戦っています。しかも、ぼっちメイスに至っては個人的に守る相手がいなくても、善きことのために戦っているわけですね。

なんとも気高く立派な精神です。

また会いたい

いい意味で軽く接することができるキャラクターたちに、華のある俳優陣が織りなしていくアンサンブル。

メイスとハディージャの腐れ縁感も、メイス&マリーコンビのいいライバル親友になりそうな雰囲気も。

一般人として投入されるリアクション担当である普通の主婦グラシエラも。

今作の一番の成功は彼女たちに対してどんどんと興味が出てくるところ。特に一緒にいるところが楽しくて、もっと彼女たちの話を見てみたいと思わせてくるところです。

過去の深堀りについてはうまくいってない気がしますが、今後再びチームで集まる任務が見たい、続編などあればぜひ見たいと思わせてくれる。

今後続編が作られたらいいなと思います、

非常に大味で雑で、特徴的なことではないアクション映画として、しかし確実にそうした掘り込み過ぎない気軽なアクション映画として楽しむことができた映画でした。

というところで感想はこのくらいになります。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

ではまた。

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