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「 DOGMAN ドッグマン」”DogMan”(2023)

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「DOGMAN ドッグマン」(2023)

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作品解説

  • 監督:リュック・ベッソン
  • 製作:ビルジニー・ベッソン=シラ、スティーブ・ラビノー
  • 脚本:リュック・ベッソン
  • 撮影:コリン・ワンダースマン
  • 美術:ユーグ・ティサンディエ
  • 衣装:コリーヌ・ブリュアン
  • 編集:ジュリアン・レイ
  • 音楽:エリック・セラ
  • 出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジョージョー・T・ギッブス、クリストファー・デナム 他

実際の事件から着想を得たバイオレンスアクション映画であり、監督・脚本は「レオン」や「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」のリュック・ベッソン。

「ニトラム/NITRAM」で知られるケイレブ・ランドリー・ジョーンズが主演し、圧倒的な存在感でドッグマンを演じきった映画です。共演には「フレッシュ」のジョージョー・T・ギッブスと「ザ・ベイ」のクリストファー・デナムが出演しています。この作品は2023年の第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されました。

予告を見て興味があったことと、ベッソン監督作品という点もありますが、やはり主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが結構好きな俳優なので彼目当てでの鑑賞になります。

映画館は春向けのドラえもんとか戦隊もの?とかアニメなどでめちゃくちゃ混んでましたがこちらの作品はあまり混んではおらず。年齢層も結構高い感じでした。

ちなみにこちらマッテオ・ガローネ監督の「ドッグマン」とは何も関係ないです。

「DOGMAN ドッグマン」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

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ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男性は、自らの半生について語り始める。

彼は犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代を振り返っていく。犬たちの存在に救われながら成長し、恋を経験し、世間になじもうと努力したが、人に裏切られて深く傷ついていった。

彼は生きるために犬たちとともに犯罪に手を染め始めることになる。地域の社会へ影ながら手を貸していた彼であったが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。

感想レビュー/考察

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なんとなく犬が好きなので鑑賞。リュック・ベッソン監督の作品なので裏社会とか精神的に壊れたまま大人になった存在とかが来ると思ってましたが、そのままといえばそのままです。

何か奇をてらった事とかはなかったですね。いつものベッソン監督というか、90年代の頃の味が戻っている感じがします。

ストーリーについてはちょっと歪に感じる点や気になるところも多くあります。特に2項対立とか共通の面を持たせようとしているように思える、まるで羊たちの沈黙化のような問答を通していくシーン。

正直なところ今回主人公ドッグマンをカウンセリング、聴取する女性のドクター側にはあまりドラマ性が感じにくいと思いました。

彼女は離婚を経験し、それはドッグマンと同じく愛した人に裏切られたと捉えても良いのかもしれませんが、弱い気がします。彼女には支えとなる母もいますし。

まあ犬と子どもがそれぞれにいて、保護する対象がいるのは同じかもしれないですが。ドッグマンの過去からの話を追って見える痛みと、このドクターが持っている痛みが同じとは言い切れない気がします。

そんなわけでいろいろと気になる点は脚本上散見されているので、その点に期待してはいけないかも。

ビジュアル面での特筆したものも私は感じなかったです。

今作の見どころについては、主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズと脇を固めている犬たちだと思います。彼らを楽しみましょう。

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ケイレブ・ランドリー・ジョーンズはゆがめられてしまった貧しい男の役柄がなぜこんなにもハマるのでしょう。今作でも緩い脚本をきちっとさせるような光を持っています。汚い方が似合う男。

風貌についての汚れた中に、彼の瞳がふと光を当てられるショットが入る。するとブルーの澄んだ瞳が覗きスクリーンに映し出されるわけで、そこには純真なる魂が宿っているように見えてくる。

自分自身の本性を見つめなくて済むように、常に何らかの仮装をし、真実を隠して表舞台に立つ姿は「ジョーカー」におけるアーサーのような悲哀も感じますね。

ドラァグクイーンとして、ドッグマンとして、さまざまな仮面の奥底にはいまだあの檻を出ることのない魂がいるのかもしれません。

あとはやはり犬たちですね。様々な犬種が登場していて、彼らの演技というか動き、これが素晴らしい。みんなかわいいですし、小さな犬らしい仕掛けやアクションもあり、ボルゾイはまるで「ターミネーター2」のT-1000かのように格子をすり抜けたり。

コモンドールが擬態して襲い掛かってくるなど、この辺はただたくさんの犬がいるというだけではなく、それぞれの個性を生かしたシーンがあってとても楽しかったです。

作品中で何度も檻のメタファーかそのものが登場しますが、おなじく宗教、十字架も彼の人生に付きまといます。父の強い存在、卑劣なことをした兄。

父はそのまま試練を与えてくる神にも重なりますし、きっと弟であった主人公を痛めつけたという意味で兄はカインに重ねられているのだと思います。

だからこそ最後には、檻も枠組みもない大きな広場に出て、自らの足で立ち上がるシーンで締めくくられています。彼は何度か倒れると、十字のような形で寝ていますが、けっこう宗教的なモチーフの多い映画でした。

なんか大傑作とかでもないですし、あと宣伝で言われているようなダークヒーローの映画でもないです。ただ一人の男の人生そのものを映画にしていく構成とか、中心で魅せているケイレブ・ランドリー・ジョーンズと犬たちは力強くて素晴らしかったと思いました。

今回の感想は以上。ではまた。

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