「ブラックアダム」(2022)
作品概要
- 監督:ジャウム・コレット=セラ
- 脚本:アダム・スティキエル、ロリー・ヘインズ、ソーラブ・ノシルヴァーニ
- 原作:オットー・バインダー、C・C・ベック『ブラックアダム』
- 製作:ドウェイン・ジョンソン、ダニー・ガルシア、ハイラム・ガルシア、ボー・フリン
- 音楽:ローン・バルフ
- 撮影:ローレンス・シャー
- 編集:ジョン・リー、マイケル・L・セール
- 出演:ドウェイン・ジョンソン、ピアース・ブロスナン、サラ・シャヒ、ボディ・サンボギ、オルディス・ホッジ、ノア・センティネオ、クインテッサ・スウィンデル 他
「ワンダーウーマン」や「アクアマン」を展開するDCユニバース映画にて、太古の眠りから目覚める超人新たな物語が指導。
「ワイルド・スピード」シリーズやなどのドウェイン・ジョンソンが魔術師により超人的な力を与えられた男ブラックアダムを演じます。
監督はリーアム・ニーソンとよく組む「トレイン・ミッション」などのジャウム・コレット=セラ。
DC作品としては11作品目になるようで、長々と続いているなと思います。
実はブラックアダムは本当は「シャザム!」にて出てくるはずだったらしいですが、脚本の修正もあってあの時は少しだけ言及されるだけでした。
今作はブラックアダムのほかにもすでに活躍しているヒーローとして、ホークマンを「透明人間」などのオルディス・ホッジ、そしてあのピアース・ブロスナンが魔術師ドクター・フェイトを演じています。
ロック様がスーパーヒーローということで前から話題でしたが、公開延期をして1年越しでやっと日の目を見た作品。
公開週末に早速観に行ってきましたが、MCUに比べるとやや入りは少な目だったかと思います。
〜あらすじ〜
5000年前、繁栄していた古代都市カンダック。
ある時独裁者が君臨し、悪魔の力を得た王冠で地上全てを支配しようした。
そんな中一人の少年が立ち上がり反乱を起こし、彼はその高潔さと勇気で魔術師の選択を受け、超人テス・アダムとして非道の王を倒す。
時は流れ現代、その王冠を求める傭兵集団がカンダックを侵略し、市民を苦しめている。
古代遺跡から王冠を見つけた傭兵集団であったが、同時にテス・アダムを眠りから覚ましてしまった。
圧倒的な力で傭兵を蹴散らしていくテス・アダムだが、善も悪もなく突き進む破壊神を脅威とみなし、ヒーロー集団JSAがカンダックにやってくる。
感想/レビュー
DC映画としては連続した世界にありますが、これまでの変更後の流れよろしく、「シャザム!」や「ワンダーウーマン1984」と同じスタンドアローンな作品です。
「シャザム!」との世界設定に共有するものがありますが、正直この作品だけで成り立っているため、過去作など気にせず観ることができます。
というところでハードルは低いのですが個人的にはあまり新ヒーロー誕生としては微妙な印象になってしまいました。
ロック様映画
主演はドウェイン・ジョンソン、あのロック様です。
彼自身はとても良い俳優だと思っています。
やはりフィジカルが強くその存在感があり、華もあります。WWEの大スターであるのでいるだけで絵になるのは素晴らしい魅力です。
ただそこで2つ気になる点が。
1つはさほど問題ではないかもしれませんが、やはりドウェイン・ジョンソンに寄りかかった作品である点。
それはピアース・ブロスナンの存在などからやや軽減はされていますが、やはりアイドル映画になりそうなところです。
煮えきらないアイドル映画
しかし本当に問題なのは実はアイドル映画にすらなりきれない点でした。
ロック様の魅力ってやはりその楽しさにあると思っています。
ワイルド・スピードではジェイソン・ステイサムとの掛け合い、同じ監督の「ジャングル・クルーズ」でのコミカルさ、「モアナと伝説の海」での陽気さなど。
その点では今作のブラックアダムは終始ムスッとしているだけです。
別にそれでもいいのですが、ロック様が演じるには彼の資質が十分に発揮できない気がします。
存在感とルックのカッコよさ以外にロック様である必要があまり感じられませんでした。
暗めのヒーロー映画であるなら、「ザ・バットマン」のような展開もできたと思います。
復讐鬼が英雄になる過程を描くなら似ていると思うので。
黙りこくっていてチャームさが封印されてしまい、そういう意味ではもったいなく感じます。
意味のない破壊の連続
また今作は一瞬も休むことなくアクションが起こります。
いや、アクションというか破壊です。
人が吹き飛びものが壊れてスマッシュクラッシュ意味不明です。
CGIエフェクトでただ大掛かりにものがぶっ壊されていく連続。なんか盛りすぎてどうでも良くなってきます。
うるさいんですよ。アクションでドラマを展開するわけでもなく意味が無い。
スーパーヒーロー映画全般が悪いとは言いませんが、「ブラックパンサー」後の世界にこの騒ぎはいただけません。
アクションの見せ方も正直一辺倒で退屈です。緩急をつけたいのか、「300」のマネがしたいのか。
いちいち途中でスローモーションが挟まれる。その演出も同じで繰り返すから飽きてしまいます。
ブラックアダムが個人的な復讐のために動いている…みたいなこと言ってますがわそもそもやることないですよね。
JSAに捕縛されるのが嫌なだけで。
なので英雄的な動機を得ていくというドラマもないですし、彼のゴールが見えませんでした。
私は訴えているテーマは好きです。
超人がヒーローを作るのではないこと。
精神で英雄になること。そして英雄とは人々の心に希望をもたらし、鼓舞すること。
でもうまく実行されていない。
良い素材に志があり、個人的にはホークマンの動きもドクター・フェイトのルックやエフェクトも好きではありました。
しかしいかんせんその中に入り込むに至らず、表層的に視覚効果の奔流に押しつぶされ、”まあどうでもいい”となったのが本音です。
ロック様はカッコいいのは間違いないのでビジュアル良ければというなら見てみましょうか。
実はこの感想を書いている12/8時点でDC映画刷新のニュースがあり、ブラックアダムの続編も可能性が低いと出ています。
最後のカメオのあのキャラも、せっかく続編が決まっていたのですが、それも不透明に。
迷走が酷いですが、年明けには「シャザム!」の2作目がありますのでしばらく付き合いますか。
というところで感想は以上。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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