2021年映画ランキングベスト10
あっという間に2021年も終わりが近づき、年間の総まとめとベストを選出する時がやってきました。
今年は昨年から公開延期されてきた作品がついに劇場に登場したり、新作も続々と公開を迎えて劇場に活気の戻る年となりました。
くわえて私ごとですが、NETFLIXに加入したことで配信公開関連の新作についても追っていけるようになりました。
これでまた楽しみが増えてきたと同時に、映画を見るという行為の定義がかなり変わった年でもありました。
今年の締めくくりとして、劇場公開された中で劇場で観た作品の中から個人的にすごく好きになった10作品をランキング形式にてご紹介します。(作品名からレビューにリンクします)
- 「17歳の瞳に映る世界」”Never Rarely Sometimes Always”(2020)
- 「アメリカン・ユートピア」”David Byrne’s American Utopia”(2020)
- 「プロミシング・ヤング・ウーマン」”Promising Young Woman”(2020)
- 「Mr.ノーバディ」”Nobody”(2021)
- 「パーフェクト・ケア」”I Care A Lot”(2020)
- 「アナザーラウンド」”Another Round” aka “Druk”(2020)
- 「キャンディマン」”Candyman”(2021)
- 「ファーザー」”The Father”(2020)
- 「フリー・ガイ」”Free Guy”(2021)
- 「サンドラの小さな家」”Herself”(2020)
という結果。あくまで映画館で観たものに限っており、中には限定公開の作品も入っています。
こうしたあたりも決める基準が難しくなってきました。
単純に映画を見る楽しさを思い起こしてくれた作品や、これまで見てこなかったアプローチをするもの、そして、芸術が現実をより良くする影響を感じるものなど様々ありました。
第1位「17歳の瞳に映る世界」”Never Rarely Sometimes Always”(2020)
監督:エリザ・ヒットマン
こちら迷うことはなく一番好きな作品でした。映像的な語りのうまさとか、主演のシドニー・フラニガンの素晴らしさとか、今まさに語られるべき題材において、本当に静かに叫びを、少女たちから見た主観として伝えてくる。
手の演出には脱帽です。芸術がこうして現実へ訴えて良くしていけるならば。
今年2021年に鑑賞した中で一番気に入った作品です。
第2位「アメリカン・ユートピア」”David Byrne’s American Utopia”(2020)
監督:スパイク・リー
2番目はスパイク・リー監督が、元トーキングヘッズのデヴィッド・バーンのステージショーを映画として納めたドキュメンタリー。
ショー自体のあまりのレベルの高さに圧倒されますが、分断に直面するアメリカひいては世界に対しての、本当のユートピアを求める心に感動しました。
楽しくて示唆的で、教養があり驚異的。心底ぶっ飛ばされたような衝撃を感じたという意味では今年一番でした。
第3位「プロミシング・ヤング・ウーマン」”Promising Young Woman”(2020)
監督:エメラルド・フェネル
こちらはキャリー・マリガン主演のリベンジ映画。実話に基づくあまりの胸糞悪さと、悲しみと怒りに満ち満ちたすさまじい作品。
しかしエンタメとして最高におもしろく予想がつかず、キャリー・マリガンが本当に素敵で、それでいてやはり真摯。
観ている自分に対して意見を求め、すべての勢力やバイアスに牙をむく。あまりに強烈な作品で本当に素晴らしかったです。
第4位「Mr.ノーバディ」”Nobody”(2021)
監督:イリヤ・ナイシュラー
この作品は、B級映画を楽しむことを存分に思い起こさせてくれました。観ている間とにかく楽しくて仕方なかったのです。
AランクのB級映画。最近は多く語られてきている、何者でもないただのおっさんが実はめちゃくちゃ強いというカタルシス映画。
見やすく、構成も良く、またとにかくみんな楽しそう。ボブ・オデンカークの新境地にして大満足の1本でした。
第5位「パーフェクト・ケア」”I Care A Lot”(2020)
監督:J・ブレイクソン
一応配信?限定公開なので迷いましたが、映画館で観たものは観たものですのでランクイン。
自分にとってはドハマりの作品です。ロザムンド・パイクの素晴らしさに惚れ、姉さんに一生ついていきます。
ドクズ映画って魅力があるのですが、今作はまた別に視点でのフェミニズム映画とも考えています。
男性にばかり許されていた人でなしのキャラクター。
女性には暗黙に強要される”品行方正さ”。それを打ち砕き君臨する主人公マーラの登場にうれしさを感じざるを得ません。
第6位「アナザーラウンド」”Another Round” aka “Druk”(2020)
トーマス・ヴィンターベア監督×マッツ・ミケルセンの酔っ払い映画がここにランクイン。
マッツという思考を携え、酔いどれ映画としてすごくいいんですが、酒がないと親友にも悩みを解放できなくなっているというのは大人になったからこそ響きました。
そしてヴィンターベア監督自身から、娘さんの想い出も併せて、若い世代に対しての非常に優しいまなざしがあるのも、輝かしい。
サッカー坊主のゴールは熱く、最後のダンスは至福。
第7位「キャンディマン」”Candyman”(2021)
ここでニア・ダコスタ監督の新作、「キャンディマン」精神的な続編。
これあまり話題になっていなかった気もするのですが、期待した以上のものを観たとか、こんさくもまた芸術が現実に影響するという映画だったこともあり、かなり気に入った作品です。
甘美な死の香りがする色彩とライティング、撮影。音楽の良さ。そして何よりも、この悲痛な伝説と怪物を再び現代に目覚めさせた時、その名をダークヒーローとなるのが痛快です。
キャンディマンの名を恐れる者は、恐れるべ気理由を持つ者なのですから。
第8位「ファーザー」”The Father”(2020)
もはやいうこともない傑作ですよね。アンソニー・ホプキンスの名演、これは誰も勝てないだろうというところ。
ただ、この作品をベストに入れたのは、この認知症という題材を主観で描いた手法に本当に圧倒されたこと。
それを描くことでホラー映画のごとき緊張感と恐ろしさを持たせるなんて考えても観ない視点でした。
そして大切なのが、あるシーンを入れることによる嘘偽りのない真摯さ、正直さです。きれいごとにしない、その立派な姿勢に涙すら出ます。
第9位「フリー・ガイ」”Free Guy”(2021)
監督:ショーン・レヴィ
ショーン・レヴィのバーチャルワールドコメディ。レゴムービーでありトゥルーマンショーであるこの映画、とにかく楽しかった。
かなり笑わせてもらった作品でしたが、それだけでなくて、私にはゲームというものを善肯定した作りが響きました。
現実の置き換えとか、消費として出なくて、ゲームをプレイしているときにおいてもその感覚や心情というものはリアルなんだと、きっぱり言ってのけたことに拍手です。
第10位「サンドラの小さな家」”Herself”(2020)
監督:フィリダ・ロイド
かなり悩みましたが今年のベストに入れたかったので最後にランクインさせたのは、フィリダ・ロイド監督のシングルマザーのドラマ。
女性に対して自立支援の足りていないシステムと、対比されるコミュニティの力。
この手の作品は感動させどころみたいなものを大いに作りやすいものですが、フィリダ監督はどこに本当のドラマを置くべきなのかを心得ていました。
この作品の行きつく先ではなくて、過程に現れる善意の数々。それがあれば、立ち直れるということ。
と、ここまでが今年の総括ベスト10。
他にも特筆すべき作品は本当に多いし、素敵な映画にたくさん出会えました。劇場でもそうですし、ほかにも配信でいろいろと強烈な作品もありますね。
あと自分はリバイバルで「真昼の決闘」、「マトリックス」(IMAX)そしてついに子どものころからTVで観て大好きだった「ダイ・ハード」を映画館のスクリーンで観れたりと楽しかったです。
あとは前半においてはドキュメンタリー映画をたくさん見れて、その深さにはまり、後半というか11月くらいからは韓国の映画をどんどん見るようになったのもかなり幅が開けてよかったです。
2022年も年明けからスパイダーマン新作に、イーストウッドの新作、さらにつづけてリドリー・スコットにマッツの新作「ライダース・オブ・ジャスティス」・・・と今から楽しみでなりません。
皆さんも今年はどんな映画と出会いましたでしょうか。人生に残る作品、自分にとってかけがえのない作品にこれからも出会っていけるようにまだまだ映画を見ていきます。
というところでおしまいです。
読んでくださっている方は、本当にいつもありがとうございます。
また来年もどうぞよろしくお願いいたします。それではよいお年を。
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