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2024年映画ランキングベスト10 My 10 Best Films of 2024

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2024年映画ランキングベスト10

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今年もあっという間に年の瀬になりました。年間の劇場鑑賞映画のまとめとして、ベスト10本を決めて発表します。いろいろと悩みましたが、以下が個人的映画ランキングTOP10です。

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ベスト10

  1. ロボット・ドリームズ
  2. 墓泥棒と失われた女神
  3. ジョイランド わたしの願い
  4. How to Have Sex
  5. 哀れなるものたち
  6. コット、はじまりの夏
  7. アイアンクロー
  8. メイ・ディセンバー ゆれる真実
  9. ロイヤルホテル
  10. クレオの夏休み

良作の多い下半期に、多国籍なラインナップ

個人的には上半期よりも下半期の方が好きな作品が多かった印象。特に下半期に突入した7月。立て続けに良い作品が公開され、ランクインもしました。

私個人としてスーパーヒーロー映画やブロックバスター映画への親しみが薄らいできたことや、またあまりいい作品だと思えもしなかったためか、その辺は入ってこなくなりました。

スペインのアニメ、イタリア映画、パキスタン映画、アイルランドにイギリス、フランスそしてオーストラリア。様々な国からとてもいい作品が日本で公開されました。

映画の魔法がかかった瞬間

とびぬけてTOPを争った作品は、いずれも映画の魔法を感じた作品たちです。

パブロ・ベルヘル監督の「ロボット・ドリームズ」はまさに映画という言語、ビジュアルとサウンドで語る純粋な映画体験に、”September”のあまりに印象的な使い方で、やはり一番好きな作品だったと言えます。

アリーチェ・ロルバケル監督の「墓泥棒と失われた女神」ですが、監督の「幸福なラザロ」と同じような魔法が感じられます。

こちらは、映画というモノが時間を越えて一瞬ですべてを繋いでくれるメディアであること。撮影や衣装、演者含めて、幻想的で不可思議な中、優しく驚く感情に包まれました。

そしてサーイム・サーディク監督による素晴らしいドラマ、「ジョイランド わたしの願い」。パキスタン映画としてしっかりと伝統や文化、しがらみに苦しむ人たちを描きつつ、世界中にとどろく普遍的な感情ドラマ。

遠い国の異なる背景の、異なるジェンダーの人を見て、繋がって一緒に泣く。全く知らない人の人生に心震わせることも、また映画の魔法です。

「How to Have Sex」「ロイヤルホテル」はどちらも女性への性加害やハラスメントを描き出していますが、両者ともに体験の解像度が素晴らしい。また認識の祖語や女性感での意見の違いにまで手を伸ばし、広く描いている点がとても印象的です。

上半期に入れていた「哀れなるものたち」「コット、はじまりの夏」はやはり脱落することなく好きな作品でした。

そしてトッド・ヘインズ監督の巧みなミステリー「メイ・ディセンバー ゆれる真実」。何かを認知することは決して容易ではなく、だから他人を理解することも不可能に近い。スキャンダラスな内容を抜群の俳優たちを交えて、明確でなく考えさせる形で観客を引きずり込む巧みさが素晴らしかったです。

「クレオの夏休み」は宝物のようにきらりとした小さな作品。ただ国際的な搾取構造などの社会問題を背景に、誰もが持ったことのあるような幼少期の記憶を呼び覚まされて感動的です。

ベストに入れたかったというか、こっちだってベストだもん映画

トップ10作品を選出ということで、漏れてしまった素晴らしい作品も多いです。

とりわけオーメンと花嫁はどこへ?あたりは迷いました。何年かしてから、なんでこの時ベストに入れなかったのだろうか?と思うこともあるのかと、つい考えてしまいます。

おまけコーナー:各部門

ここからはお遊びですが、部門ごとにベストを考えてみました。単純に、作品としてのベストには入らないけれど、残しておきたい何かの要素がある映画をちゃんと言及しておきたいだけです。

最優秀女優賞

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女優部門では、正直きりのないくらい素晴らしい俳優たちがいたと思います。キャサリン・クリンチの透明感と今後への期待、さすが存在感があったペネロペ・クルス、オーメンを生む母として苦しみながらも強く戦う修道女を演じたネル・タイガー・フリー。

そして「Shirley シャーリイ」からはアンサンブルとしても良かった、エリザベス・モスとオデッサ・ヤング。とにかく力強さや主導権を握ろうとする女性たちが多かった気がします。

しかし、個人的にはやはり「ノーヴィス」のイザベル・ファーマンが記憶に焼き付いています。この作品の魂であり、抗えない自然の力のごとき存在。本当に圧倒されました。

最優秀男優賞

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男性部門。メンションしたいのはジョシュ・オコナーと、チャールズ・メルトンですが、もうあまりいうこともなく今年一番はデンゼルです。デンゼルの独り舞台。

リドリー・スコット監督の「グラディエーターII」は、決してポール・メスカルの力が弱いわけでもないし、ペドロ・パスカルだって素晴らしい。でも、デンゼルにすべてを持っていかれています。

カリスマ、どこか柔らかく踊るような所作、恐ろしさを感じるすごみ。彼が出てくるとすべてのシーンは彼が主役。その勢いで2024年をも支配してしまうような存在感でした。

ベストヒーロー賞

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ヒーローというのはスーパーヒーロー的な意味だけではなく、英雄的な行動をした素晴らしいキャラクターを選びたかった。

リア・カーンは姉のために、女性のために戦い、演じたプリヤ・カンサラのキュートさや熱意にノックアウトされる、素敵なヒーロー。彼女の存在が、さらに彼女を見た少女たちを鼓舞して、夢をあきらめない力をくれると思います。

そして名優アンソニー・ホプキンスが演じたニコラス・ウィントン氏。実話ものですが、この作品はウィントン氏を、彼の人格を理解し最大限の経緯を示しているため、よりこの方が高潔であることが分かります。

「普通の人がすることをするんだ」

この言葉が今も胸に刺さっていて、普通の人に慣れているかを自分に問い続けているのです。

そして、一番たたえたい英雄は、「助産師たちの夜が明ける」で、舞台となる産科病棟で働くすべての医療従事者です。作品はキャラクターを見事にジャグリングしながら、ドラマをみせますが、人や資金の支援のない中で、できる限りのことをし続ける彼らには尊敬の念が生まれます。

そして、そういった厳しい労働環境ゆえに起きてしまったことに対し、「人をないがしろにする仕事は続けられない。」と涙する姿に、なぜこんなにも素晴らしい人々が、自分の人生を犠牲にしている人々が、システムの問題の性で自分を攻めて涙しなければならないのか、憤りも覚えました。

プロであり親であり友人であり子どもである。彼らこそが2024年一番の英雄だったと思います。

ベスト悪役賞

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最後に悪役部門。

「バイクライダーズ」ではゴールデン・ボーイとして輝いていたオースティン・バトラーも、イカレサイコ野郎フェイド=ラウサとして存在感を示し、リメイクもされた「胸騒ぎ」ではとてつもない卑劣で残酷な夫婦も出てきました。

そして「シビル・ウォー アメリカ最後の日」を観た皆さんが忘れられないのが、ジェシー・プレモンスがゲスト出演で演じた赤いサングラスの男。5分くらいしか出ていないのに、観た人すべての脳裏に焼き付く鬼畜外道です。

しかし、私の中でのベストヴィランは、やはりミア・ゴスが素晴らしすぎる、「インフィニティ・プール」に出てきたガビ。美しくセクシーで、楽しそうな女性ですが、完全にイカレていやがる。

豹変演技も怪しさも、怖さも。ミア・ゴスが「パール」などで切り開く、ホラーのヴィラン側としての覚醒がここでも見えます。怪しい魅力と幼い可愛らしさのなかに、かかわってはいけない気の狂った暴力性を感じさせる。圧倒されました。

というところで、2024年の年間トップ10と、自分なりの各部門のベストを考えてみた結果です。皆さんも様々な映画を、配信も含めて鑑賞したと思いますが、今年を代表するような自分にとっての素敵な作品と出会えたでしょうか。

来年もまた、様々な期待作が公開されていくと思うので楽しみにしておきます。そして、今年もまだあとちょっとだけあるので、何か劇場鑑賞をして年を越していきたいと思います。

ではまた。

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